中央日報
2018年 3日 2月
エマニュエル・パストリッチ
地球経営研究院院長
ことし1月、東シナ海で起きた船舶事故は環境被害につながるおそれがある。パナマ船籍のタンカーが中国貨物船「CFクリスタル」号と衝突して毒性有害物質であるコンデンセート(揮発性液体炭化水素)が100万バレル近く流出したためだ。この危険な化学物質は事故海域の東シナ海を越えて移動しながら海洋生態系を破壊している。8年前にメキシコ湾で発生し、未だ問題が残っているブリティッシュペトロリアム(BP)のディープウォーター・ホライズン原油掘削施設崩壊事件の次に大きな被害をもたらす恐れのある惨事だ。生態系破壊の側面で見れば、東アジア地域で発生した最悪の危険なことだと見なすことができる。
今回の事故が地球温暖化にともなう海水温度の上昇、酸性化および過度な操業による海洋生態系破壊などと合わされば我々にとっては大災難になり得る。東シナ海と隣接している韓国と日本がより積極的に協力的対応体系を構築し、早急に動くべき理由がここにある。このように切迫した必要性があるにも関わらず韓国と日本は歴史問題に関する最近の対立関係のために協力に躊躇する様子を見せている。
韓国と日本が急いで対策を用意しなければ数十万人の人々が汚染された水産物と水によって健康上の深刻な危険に直面する可能性がある。特に韓国の済州道(チェジュド)と日本の福岡地域が直接的な打撃を受けるものと予想される。両国は流出した毒性物質の除去と生態系復元方法を真剣に議論しなければならない。その過程は新しい技術開発に対する要求を呼び起こすだろう。両国政府は1つのチームのように働きながら国民に事態の進行過程を正確に知らせなければならない。
まず、韓国と日本は今回の事故を処理するための共同の機構を作る必要がある。そうして組織された機構は、今後東アジア地域内または他の環境問題に対応するのに活用することができる。両国が共に作った機構は環境政策と関連して両国の中央及び地方政府間協力を促進する役割をすることもできるものと期待される。
両国は危険予測と分析に科学的な手段を総動員し、その結果を世界中に共有する迅速かつ体系的な活動をしていかなければならない。中長期的に他の国々の協力も重要だ。ディープウォーター・ホライズン事故を体験した米国の経験は韓国と日本が復旧計画を立てるのに多いに役に立てるが、2010年米国大統領政策諮問委員会は今後の原油流出が地域社会および生態系に及ぼす環境影響に対応するための革新的方案を提示した。
両国は政府と民間の研究者と産業体の専門家を今回の事故対応に積極的に活用しなければならない。この作業は今後の原油運搬船運航に対する国際的規制強化や航海危険海域予測プログラム開発のような、より規模の大きな共助につながることができる。また、水質および大気質評価や長期的な生物モニタリングのための環境評価プログラムを共同で開発することもできるだろう。
このような提案のように韓国・日本両国が共同の対応プログラムを作れば、これは大気汚染をはじめとする東アジア地域の他の環境問題に対する協力に拡大する契機になることができる。両国政府だけでなく地方自治体の協力につながることもできる。特に両国は次第に増加している海洋事故の危険性に対する予測と、それにともなう航海統制方法の改善へと議論を拡大することも考慮すべきだ。
両国の大学・研究機関・非政府機構(NGO)・市民間の協力を強化して組織化し、このような大規模な海洋事故の対応に必要な長期課題を共に解決することも必要だ。また、被害にさらされるおそれの高い福岡と済州道間の緊密な交流関係構築も考慮できる。
被害地域を再建し、生態系が破壊された地域の漁師を支援する努力も伴わなければならない。そうするためには予算はもちろんのこと道徳的勇気と損害甘受の精神も要求される。この危機に十分に対応するためには韓国と日本が積極的に力を合わせなければならない。今回の東アジア地域生態系復元のための戦いで両国が共に見せる勇気は他の分野にまで影響を及ぼすかも知れない。
両国協力は東アジアの安保問題に新たなやり方でアプローチするようにする契機として作用することができる。我々は軍事的安保に劣らず環境安保、食品安保も重要な時代に暮らしている。今回起こった環境問題に韓国と日本両国がどれほど協調する態度を見せるかという両国の潜在的協力の可能性を推し量る尺度になるだろう。
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