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“朱子学の伝統は現代社会の危機を救える” (ハフィントン ポスト 2017年 3月 22日)

ハフィントン ポスト

“朱子学の伝統は現代社会の危機を救える”

2017年 3月 22日

エマニュエル パストリッチ

 

 

朱子学を強いて高校の教科書に出てくる言葉を借りれば、「江戸時代に近代化に反対した保守派の思想である」と定義することができる。

そして今になっては、博物館で展覧するような、我々の生活に何の役にも立たない骨董品のような取り扱いを受けている。が、それは本当にそうなのだろうか。

もちろん、男尊女卑といった、女性に対する差別や極端な親孝行思想など、問題点は多いが、現代の日本社会のような、深刻な道徳崩壊の問題に直面しており、気の狂った消費文化に溺れている病む社会では、未だに朱子学の伝統から見習う点が多々あるのではないだろうか。

それは目上の者の命令には無条件に従う、といったことなどからではなく、朱子学の最も魅力的な点である、行政、教養、道徳の融合から探し出せるかも知れない。

私たちは、まず、朱子学の遺産とは何なのか、そして、今の時代に偉大な知的伝統の価値を見出すためには、なぜ、学問的努力を傾注することが重要なのか、綿密に考える必要がある。

朱子学は南宋時代の学者、朱熹(1130~1200)によって明文化された哲学体系の総称であり、後の中国、日本では国家イデオロギーの礎を形成することになった。 Read more of this post

「韓国国家情報院改革のための10つの原則」 中央日報 2017年 3.月 15日”

中央日報

「韓国国家情報院改革のための10つの原則」

2017年 3.月 15日”

エマニュエル パストリッチ

 

 

憲法裁判所を不法査察したというデマが国家情報院を再びスポットライトの中心に追いやった。今回は情報機関の改革が政争のネタや扇情的な記事のネタではなく国家安保の主題に浮上しかねない。われわれは情報機関が信じるに値する正確な情報を立法者と市民に提供するよう作った方案を大乗的に点検しなくてはならない。「偽ニュース」のような、わい曲された情報が横行しているインターネットジャングルの時代に、政策安定性を確保して扇情主義的なメディアに対する役人たちの依存度を減らすには、もっと正確で客観的な情報ソースが必要だ。

容易ではない改革のための原則がいくつかある。1つ目、最高の人材が当面の政治的利益よりも実際の挑戦に立ち向かうべきだ。米国は、9・11テロ以降、莫大な資金を情報分野に注ぎ込んで画期的な発展を収めるかのように見えたが、間もなく質的な低下が発生した。情報分析の核心である「人間」が軽視された。政界の目を引きつけたのは数十億ドルのプロジェクトに含まれたコンピュータと人工衛星だった。コンピュータ技術力も重要だが、韓国はコンピュータが人間を惑わすがままにしておいてはいけない。 Read more of this post

「判事の全員一致、米国ではありえず」パストリッチ NNA ASIA 共同通信

image1NNA ASIA アジア経済ニュース

共同通信

2017/03/13

憲法裁の弾劾認定、識者はこう見る

■「判事の全員一致、米国ではありえず」

パストリッチ・慶熙大学副教授

日本文学専攻、アメリカで10年間教授をつとめた。民間シンクタンク、アジア・インスティテュート所長

大統領の弾劾が成立したことは米国人にとって驚きだっただろう。米国には弾劾された大統領がいない。ウオーターゲート事件で追い込まれたニクソン元大統領は弾劾前に辞任を選び、その後赦免された。朴氏にも国の混乱を回避する選択肢があったのではないか。

米国の場合、進歩と保守の基本的な思考方式はあまりにも違うので対話はまず不可能。米最高裁の判事が自らの理念や主義よりも民意を優先することはありえない。民意を反映しやすいのは韓国の司法制度の長所と言えるが、一方で、判事の判断基準は曖昧になりがちだ。

憲法裁判所の李貞美所長代行が決定文を読み上げる様子は、芝居を見ているような面白さがあった。決定文の最後になって弾劾認定ということが分かった。韓国人には感動を与える効果があったようだが、最初に結論を述べる米国スタイルと比べると違和感を覚えた。

また、朴氏の疑惑に関連する調査と裁判が長期化する場合は、共に民主党が大統領選挙に向けた政策論争を曖昧にするなど政治的に利用される恐れもある。今回の弾劾認定は韓国の誤った政治文化の改革につながらなければ意味がない。「大統領不在」の長期化による外交の停滞も心配だ。

■「安定政権が誕生すれば、日韓関係改善も」

木村幹・神戸大学教授

比較政治史

弾劾が認定されたことで保守派の崩壊は決定的となり、革新系「共に民主党」での党内選挙が実質的な大統領選挙となる可能性が高くなった。現状では文在寅氏が圧倒的に優勢だが、「文氏が大統領になると日韓関係が一層悪化する」とみるのは早計だ。日韓関係が良好だった時期を分析すると、いずれも大統領の支持率が高かった時期と重なる。保守か進歩(革新)かはあまり関係ない。実際、日韓関係が「過去最悪」と言われた2011~15年は保守政権だった。

文氏が圧倒的な支持を背景に安定的な政権を作ることができれば、日韓関係が改善に向かう可能性は十分ある。文氏は盧武鉉政権時代に青瓦台(大統領府)で秘書室長を務めたことのある人物で政権運営のノウハウを知っている。朴氏と前回の大統領選挙を戦ったことで「身体検査」も済んでおり、これ以上、スキャンダルが出るとは考えにくい。ある意味で、最も安定した政権を作れる条件を備えているといえる。懸念があるとすれば、北朝鮮に対する融和的な姿勢だ。開城工業団地の稼働を再開する可能性は高い。しかし今の朝鮮半島情勢を考えれば、それくらいしか打つ手がないともいえる。

ただし、国民の期待が大きい分、次期大統領が受けるプレッシャーはかなりのものとなるだろう。経済の低成長や格差の拡大など社会全体に閉塞感が漂っているが、次期大統領が打てる政策の幅は限定されており、期待が一気に失望に変わる恐れがある。憲法裁の今回の判断で、大統領弾劾に対するハードルが低くなったのも気がかりだ。

■「選挙サイクルが変わり、政治行動に変化」

浅羽祐樹・新潟県立大学大学院教授

韓国政治学

「ろうそくデモ」と「太極旗デモ」に韓国社会が分裂していた中で、憲法裁判官8人が全員一致で罷免を決定したことは、紛争の最終解決者として国論を統合する上で、意味が大きい。日本では「法よりも民意を優先する」として韓国に対して否定的なイメージを持ちやすいが、「弾劾」の制度趣旨を考えれば、民意をある程度反映するのはむしろ当然だ。89ページに及ぶ憲法裁の決定文を読んで、法理検討を丁寧に行い韓国の法制度が十分に機能したという印象をもった。

朴氏の罷免により、民主化後30年続いた選挙サイクルが変化する。5月に大統領選挙が実施され、次期大統領の任期は当選と同時に始まる。これまでの12月選出、2月就任という選挙時期にずれが生じることになる。韓国の政治家は選挙のタイミングによって影響を受けるため、4年ごとの総選挙や統一地方選挙、与野党内の統制力などにも大きく影響してくる。ゲームのルールが変わることで、政治家の戦略や行動パターンも当然変化してくる。さらに、次期政権では憲法改正が焦点になる。

5月の大統領選挙については、「共に民主党」の党内予備選が事実上の本選となるだろう。予備選は文在寅前代表と安熙正・忠清南道知事との争いとなるが、文前代表が当選する可能性が高い。ポートフォリオ(分散投資)は必要だが、チップの張り方にはその都度メリハリが必要だ。

文前代表が次期大統領になれば、日韓関係のさらなる冷え込みが懸念される。15年の慰安婦合意に関して、破棄とはいわないまでもプラスアルファの再交渉を求めてくる恐れがある。ただ、安保分野では北朝鮮の核問題やミサイル発射を念頭に、昨年11月に締結した日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)などで引き続き連携していくものとみられる。

■「極めて常識的かつ合理的な判断」

朴チョルヒ・ソウル大学国際大学院院長

国際政治学

憲法裁の判断は民意に沿った極めて常識的かつ合理的なものだった。

憲法上与えられた大統領の権限を尊重しながらも、弾劾訴追を巡る争点の一つ一つを法律に従って判断していったためだ。「自らの手で勝ち取った民主主義を守ることができた」と国民は胸をなでおろした。

弾劾の是非を巡り分裂した国民が一つになるのは簡単ではないが、60日後の大統領選挙に向かって徐々にまとまりを取り戻すだろう。弾劾に反対するデモも盛り上がったが、彼らは何があっても朴氏を守ろうとするグループであって、本当の意味で保守派とは呼べない。今後も憲法裁の判断に異議を唱えれば唱えるほど、孤立を深めることになるはずだ。

現状では文在寅氏が次期大統領になる可能性が高い。日韓関係は厳しくなるだろうが、すでに最悪の日韓関係を経験した後なので、十分に免疫はできている。ただ「文氏=反日」という考えは一度捨てた方がいい。盧武鉉元大統領は反米のイメージが強いが、政策だけで見ると後にも先にもないくらいの親米政権だった。米韓自由貿易協定(FTA)交渉を開始したのが好例だ。

また長嶺安政大使が一時帰国する原因となった少女像にはこだわりすぎない方がいいだろう。新たに少女像が釜山に設置されたのは遺憾だが、撤去を大使帰国の前提条件にすると、慰安婦問題の解決を日本との対話の前提条件とした朴氏の時のように日韓関係が再び膠着する恐れがある。

■「保守は結集して左派政権誕生の阻止を」

尹昶重・元大統領府報道官

大手新聞社の政治部記者出身。現在は保守派の有力コメンテーター

憲法裁の判断は全く承服できない。大統領に抗議し退陣を迫った「ろうそく集会」の主張や特別検事の捜査結果をそのまま認めただけだ。メディアや野党を含めた左派勢力によって自由民主主義が崩壊してしまった。60日後の大統領選挙では、保守派は結束力を高めて北朝鮮に親和的な左翼政権の誕生を阻止しなければならない。

現時点では、文在寅氏が次期大統領の有力候補であることは事実だ。しかし、文氏人気は朴氏不人気の反動みたいなもので、弾劾騒動が一段落すれば、支持基盤は弱まるだろう。

かつて「共に民主党」の事実上のトップだった金鐘仁氏の同党離党が良い例だ。金氏は「政界渡り鳥」と言われており、政治部記者として30年以上政局を見てきたが、彼ほど権力への嗅覚が鋭い政治家はいない。権力があるところには必ず金氏がいた。その金氏が離党したということは、文氏が大統領になる可能性はないと判断したということだとみている。

“世界を脅かすトランプ政権が作っている災難” ハフィントン ポスト

ハフィントン ポスト

“世界を脅かすトランプ政権が作っている災難”

2017年 3月 7日

エマニュエル・パストリッチ

 

 

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“「No」と言える日本は絶対に必要 日本はマティス国防長官に独自の安保ビジョンを提案すべきである” (ハフィントン ポスト 2017年 1月 25日)

ハフィントン ポスト

“「No」と言える日本は絶対に必要 日本はマティス国防長官に独自の安保ビジョンを提案すべきである”

2017年 1月 25日

エマニュエル・パストリッチ

1989年に石原新太郎が「Noといえる日本」という本を出版して非常に話題になった。その当時、日本に留学中だった私にはあまり興味の持てない内容であった。この本のなかで石原が唱える政策が有用であるとは今でも思わないが、しかしながら、今の日本には「Noといえる」精神が必要ではないかと思う。

トランプ政権は、中国がアメリカに対して執拗な敵意を持っているために、交渉相手にはなりえないという前提のもと、去年、オバマ大統領と習近平主席が合意した気候変動に関する協力関係を反故にするなど、躊躇なく 挑発的な発言をしている。

アメリカのマティス国防長官は今週の水曜日に東京を訪れ、北朝鮮の脅威を名目に、日本の防衛省を訪問する予定だが、その本音は間違いなくアメリカ、韓国と日本が手を組んで中国に軍事的に対抗しようという内容であるだろう。トランプ政権が、尖閣列島と南シナ海をいつでも軍事的に対応可能な地域にしようと力を注いでいるのは事実である。しかし、トランプ政権は、明らかにアメリカ合衆国を代表するものではなく、連邦政府の一部のみを代表する勢力にすぎないのである。

次期国務長官に内定したレックス・ティソンとホワイトハウスも、南シナ海にある島の領有権を主張している中国に、その島から撤退させるよう、アメリカが積極的に対応することを提案した。

このような発言は、あまりにも扇動的なので、彼らが頭の中だけで考えているのではないかと疑う人も多い。しかし、彼が主張していることは明確である。これは、戦争宣言であると言っても過言ではないのである。

日本はマティス国防長官に対し、外国政府の代表として礼をつくす必要はあっても、協力する必要はない。

日本がその未来について慎重に考えるなら、このようなトランプ政権の提案に対し断固として「NO」と言わなければならない。日本は中国と長い間、密接な関係を結んできており、ビジネス、学術研究、地方自治体やNGOなど、あらゆるレベルで日本にとって有益な交流が数多く行われている。

中国と経済的な関係を更に緊密にし、友好的な関係を維持・発展させることは、日本の発展にとって必要不可欠である。

しかしトランプ政権は、アメリカがまったく領有権もない南シナ海において、国連を無視して 中国を牽制するための 軍事的な対抗策に乗り出すだろう。 本当は、世界各地で起こる領土紛争を管理し、解決する方法は他にいくらでもあるのに、である。

アメリカは、東アジアの安全保障に積極的な役割を果たすことができ、中国はそのような役割に反対してはいないということを明確にしなければならない。

中国が敵であるという論理は、愚かな軍国主義者たちが作り出した、理にかなわない見解である。中国は単純な国ではない。世界の人口の6分の1が中国人なのだ。中国は殆どの国際機関において既に主要なメンバーであるだけでなく、最近の中国は、海外での活動において、アメリカよりも遥かによく 国際法に従っているのである。

この文章は時事についての軽い論説ではなく、誰より深く日米関係について考え抜いてきた者としての発言である。

私が1987年にイェーイル大学を卒業して日本に行ってまもない頃、エドウィン・O・ライシャワー大使が私の所属していたアメリカ人留学生の集まりにちょっとした激励の挨拶をしに訪れたことがある。その当時の私は文部省留学生として、日本古典文学の研究に励んでいたが、ライシャワー大使が私に言ったことは、古典文学に集中しながらも、現在の日米関係を常に意識すべきだと言うことだった。

あれからちょうど三十年が経つが、私は忘れることなくライシャワー大使の言葉を覚えている。ライシャワー大使はハーバード大学の燕京研究所の所長を務め、多くの人に日本文化を紹介した。それだけでなく、駐日アメリカ大使も務め日米経済、安保、外交にも大きく貢献した。当時の私は彼の足元にも及ばない、未熟な青年であったので、その模範的な姿に深い感銘を受けた。

その後、私は研究に励んで、東京大学の比較文学研究室において日本語で日本漢詩文学についての修士論文を書き、さらにハーバード大学の燕京研究所で江戸時代の小説についての博士論文も提出した。さらに、上田秋成、荻生徂徠、伊藤仁斎について研究しながらイリノイ大学とジョージワシントン大学で十年のあいだ、日本文学の教授をした。アメリカの学生に日本の素晴らしい文化を紹介することは、私にとって光栄でもあり幸せでもあった。

私は今もなお日本との交流を盛んに行っているので、たびたび日本語で文化と外交について発表したり、文章を書いたりする。トランプ政権にいる誰よりも、日本を大切に思っているアメリカ人である。

トランプ政権の政策方針が、軍事力強化に向かっているにもかかわらず、日本人がそれに深い疑問を抱いても、受身な態度でワシントンからもたらされた提案を受け入れている。反対する論理は、日本政府には全く準備されていない。日本側には他のビジョンを提案するより、あまりにもマンネリ化した日米関係の惰性にしがみつく傾向があるようにさえ感じる。

また、戦争する国家ということで、明らかに日本の国益にならず日本の国家主権も反している場合には、平和憲法9条だけを強調していてはいけない。

→また、戦争も辞さない国家で、明らかに日本の国益にならず日本の国家主権にも反している相手に対して、平和憲法9条だけを強調していてはいけない。(の意味か?)

日本の教育水準は非常に高く、技術の領域のおいては常に創意的な革新をしている。にもかかわらず、軍事戦略、安全保障、先端技術の軍事的利用については、ワシントンのシンクタンクが生み出す理論と常識を盲目的に真似ているのは皮肉なことだ。日本人は、アメリカにおいて「安保」というのは、「濡れ手に粟」のビジネスであることに気づいていない。日本人は十分に独自の安全保障の研究ができるのであるが、実際には、そのほとんどが輸入品である。

戦争する国より「安保」を定義する国へ

日本がわれわらが直面している現実にもとついて日本なりの安全保障ビジョンを出すには、 最近国際社会の傾向を 深く考えてそれに応じて新しいビジョンをマティス長官に 出すべきだ。科学的な視点を持って今の安全保障問題を客観的に分析すれば数多くの人が納得できる反論が十分に可能である。

今や技術は前例のない速度で進化している。2年ごとにコンピューターチップの性能が二倍に進化するという「ムーアの法則(Moore‘s Law)」が、世の中を大きく変化させている。このような急激な変化は、とても予測できない部分もあれば、安保分野のように甚大な影響を及ぼすであろうと予測できる部分もある。

確かに将来の安保問題は、今までとはだいぶ性格が異なるであろう。そのため、どのような手段を使用するかについて再考が要求されるのは当然である。でも今のところ日本の政治家、公務員、学者が「安保」を考えるには 非常に可能性の低い北朝鮮の核兵器攻撃を仮定として 軍事準備には莫大な資金を投入しながらも、気候変動のように生死の問題に直結する問題へ取り組む機会は、逃しているのである。

安保問題の解決には多国の協調が必要で 、今度は前時代の暗黙的な想定や、安保概念の偏狭な偏見を超えて韓国、日本、中国、そして、アメリカが 互いに緊密に議論していかなければならないが、その際、注意しなければならない点が二つある。

第一に、今後の技術変化が、不必要な武器体系を生み出す要因になる可能性を追及しなければならない。また、軍事的なイシューについても、より慎重に再考する必要性を常に疑うべきである。もしかすると、これは今まで想像してきた伝統的な民族・国家の域をはるかに超えるものかもしれない。

第二に、普遍的な倫理観を以って、破壊的な潜在力を持つ次世代の武器体系の開発を制限するべきか、それとも、一層厳重な武器制限条約を作ることによって、より厳しく規制するべきかを考慮しなければならない。そして、気候変動に対する適応や緩和に必要な費用を考慮した場合、果たして今後、20年間、従来型武器の費用を賄う予算があるのかについても、問いただすべきであろう。

今こそ、人類の貴重な資源が人類生存に不可欠な基本的条件に効果的に使用されるよう、武器を制限し、禁止する厳重な合意案を作るべきではないであろうか。

技術は安保の本質をどう変えるのか

果たして最新技術が今まで武器体系が担っていた重要な役割を代行し、それによって軍事紛争の本質は変わるのであろうか。

我々自身は人の本性をよくわかっているつもりでいても、実はよく分からないものである。だから将来、人間同士の争いがなくなったり、戦争抑止の必要性がなくなるだろうと仮定してはならない。一度に多くの人を殺傷できる技術は日に日にコストが安くなっているし、しかもこのような技術を小規模集団や個人さえも手に入れやすくなっているため、これにどう対応していくかを、絶えず考えておく必要がある。

しかし、将来、急速に解体しつつある民族・国家の間で、戦争が勃発するのかどうかは確かではない。また、昔、紛争の解決のために使っていた武器が、そのまま将来にも役に立つかどうかは不確かである。

今後、我々が最も考慮すべき重要な変化は、1) ドローンやロボットの出現、2) サイバー戦争の精巧さ、3) 3Dプリンターや、その他非伝統的手段を駆使した物体伝送方式の出現、この三つである。従来の軍隊は、戦車、戦闘機、ミサイル、軍艦及び航空母艦などによって構成されており、これらはみな高価なばかりでなく、新たな武器にはとても脆弱である。

ドローンやロボットの場合、現在の技術力はまだ原始的なレベルではあるが、今後、世界を大きく変えるであろうと期待されている。もちろん、ロボットの潜在力を過小評価してはいけないが、今後、ドローンがこの変化を主導していくことは確実である。今後、ドローンは一段と小型化して、俊敏性を増すであろう。ひいては、ミクロの大きさにまで縮小され、ドローンの自己調整能力さえも可能になる時がくるであろう。

今後、ドローンの攻撃力が向上すれば、双方の抑止が働くであろうが、数千機もの超小型ドローンによって莫大な被害がもたらされる未来を想像することも、そう難しいことではあるまい。

ロボットは、今後、より大きな役割をするであろう。現在、致命的な攻撃を制御できる立場にまだ人間は立っているが、ロボットによる自動化のせいで、そうした制御に参加できる過程から人間が外されることになろう。そうなれば、罪のない民間人に対する被害はますます多くなることに決まっている。すでに一生懸命に働いている、この殺人マシンの設計者たちが、アシモフのロボット工学の倫理に関する三原則をこれに適用する可能性は、まずないであろう。

また、サイバー戦争は、我々に巨大な挑戦をもたらすことになる。いとも簡単に、敵であるわれらの武器を奪い取り、サイバー機能を利用してわれらにわれらの武器を使う 可能もあろう。そのため われわれハッキングすらできない在来の武器体系へ戻らなければならないことになるかもしれない。

また、サイバー戦争は、バーチャルリアリティ、ゲーム、公告、それから宣伝や芸術等と結合して、複雑な連続体を形成することによって、それを統制、または抑制しなければならない深刻な挑戦をもたらすであろう。若者がゲームに催眠され、戦争が来ることさえわからなくなるのはいま戦争戦略のひとつ重要な一部になっている。

しかも、このような能力は、民族·国家ではなく、特定勢力に悪用される可能性が高く、よって国際的な広範囲にわたる衝突につながる可能性もある。また、我々が今まで保持してきた国家安保政策の基本方針は、例外なく近代国家間の戦争を前提として計画したものであったが、これからの 葛藤、または紛糾においては、この国家安保に関する最も基礎的な概念が違ってくることになるでだろう。とても不安定で分裂した国際社会の秩序のもとでは、一般市民はそれを民族·国家間の戦争だと見なしても、戦争は国家間の争いへと展開して行かない可能性が高い。

3Dプリンティングは最先端技術であり、軍事的用途に関してはどのように使用されるか、今のところ、完璧に予測することは難しいが、既に産業の版図を変える重要な技術として見なされているのは事実である。3Dプリンティングは、3Dプリンターに提供されるデジタル情報により、以前の技術では製造できなかったもの、例えば、武器をも含めた色々な機械装置などを作り出す可能性を提供している。3Dプリンティングは、過去20年間の工場で行われてきたCNCルーティング、ミーリング、押出成形及び切削加工技術の拡張ともいえるが、その規模や普遍性といった点においては、比べ物にはならない。熱可塑性樹脂の小さな水玉を作って立体的な物体が作れる、理論的には、3Dプリンティングを使用すれば物流を介さずに、周りにある材料で武器を作ることが可能になる。

現在、アメリカや日本がこの新技術を先導しているという理由だけで、今の状況が維持できると過信してはならない。アメリカはドローン、サイバー戦争及び3Dプリンティングの使用に関する厳格な条約の締結がなされるよう、最優先的に政策を推進しなければならない。なぜなら、この技術は日々、価格低下が進み、他の国が短期間で世界市場を制圧することも可能だからである。これは既存の国家政府や正常な組織にとって決して有利な状況ではない。

今後、ますます民族や国家の分裂を目の当たりにすることであろう。サイバー戦争は、仮想現実、ゲーム、広告、宣伝及び芸術と複雑に絡み合っており、この特異な連続体の管理、取締りはとても難しく、深刻な問題になるのは間違いない。我々は、すでに存在する武器体系に絶対的信頼をおいてもならないし、既存の武器がもはや目的を果たせなくなったとすれば、果敢に放棄しなければならない。単に金銭的利益やプライドの維持のために特定の防御体系を維持することは、無責任なことである。

安保論争を変える気候変動

伝統的な軍事技術が正当化されるとしても、我々は、気候変動に適応し、これを軽減するのに莫大な費用がかかることや、従来型武器を持続的に開発する費用がもうすぐ無くなるという事実を、素直に受け止めなければならない。

我々は、人間の生存を脅かす気候変動の急速な進行状況を考慮した場合、安保の概念を全面的に考え直さなければならないのである。これからは、ガス排出の減少、汚染された水質や土壌の浄化、そして、森やその他の自然を復元するのに、根本的な支出を増やしていくしかないであろう。

わかりやすく言えば、これ以上、従来の軍費支出に必要な資金は残っていないということである。結局のところ、費用を賄うことができないという現実的な理由により、軍事兵器を大幅に削減する国際的な軍備統制体系を構築するしかないのである。

好むか好まざるかは別にして、世界中で核兵器を廃絶して、戦闘機、戦車及びその他の従来型武器を大幅に削減する合意案を結ばなければならない。なぜならば、我々は、まったく新たな経済を再構想する必要に迫られているからである。現在、情報機関、軍隊や外交のために使用される経費のほとんどが、今後は気候変動による深刻な問題を解決するのに使用されるであろう。そして、これは直接、経済計画に反映される厳しい監視のもとで、実行されなければならない。もちろん、海軍、陸軍、情報機関などは、それぞれに矜持があって、今手にしている膨大な予算を簡単に手放さないと考えるかも知れない。しかし、気候変動の問題に向かうことで、軍隊や情報機関の役割が根本的に変化するなら、別の矜持やプライドが軍隊や情報機関に生まれる可能性は十分にある。そうなった時、そうした軍隊や情報機関をどう呼べば良いかが新たな問題にもなろう。しかし、それは大した問題ではない。大事なのは名前でなく中身、すなわち役割の根本的な変革である。

このビジョンは理想主義者の立場ではなく、むしろ、ほとんどの人が考えようともしない現実を直視する実用主義者の立場と認めるべきだ。安保の脅威に真摯に立ち向かうのが軍隊の義務である。気候変動のような、安保を脅かす重大な要因をも解決できない武器体系を導入するために、巨額の契約を結んだり、高額を支出したりすることは、もはや軍隊の義務ではないのである。

核戦争による人類の破滅

技術の幾何級数的な発展は、安保の概念を根本的に変えてしまい、人類史上、前例のない新たな脅威を生み出している。これはある程度、予測可能だった部分でもあり、国連の設立を始めとして、戦争を終わらせようとするいくつかの努力の背景にもなってきた。しかし、完璧な世界を追及することよりも、核兵器時代の到来やその他の破壊的な武器などによる戦争被害が拡大したため、今や一般的にも核兵器を絶対に規制しなければならないという認識が広まった。

これを最も明確に訴えた人物が、アインシュタイン博士である。1955年にラッセル=アインシュタイン宣言が出た時、その宣言の中には、「さて、ここに私たちが皆さんに提出する問題、きびしく、恐ろしく、そして避けることのできない問題がある-即ち、私たちは人類に絶滅をもたらすか、それとも人類が戦争を放棄するか?」といった表現があったことを想起してもらいたい。

今や、核戦争による人類の破滅はまだ起こってないとしても、その脅威は益々増大している。そして破壊的で、しかも手に入れやすくなった新武器の登場により、この脅威は徐々に現実味を増しているのである。反面、技術の急激な発展に伴い、気候変動という、より大きな脅威が発生した。我々は、社会の発展により多くのエネルギーを消耗するようになったが、残念なことに、生態系に及ぼす影響はまったく考慮しなかった。

戦争を引き起こす能力や武器の開発、それらの使用を真剣に制限するためには、組織化された高度な国際システムが必要である。ここで言う国際システムとは、国連で構想した「包括的核実験禁止条約(Comprehensive Nuclear Test Ban Treaty、略称:CTBT)」や、「核拡散防止条約(Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons、略称:NPT)」などのようなものと、同様である。

たとえ、現状がこれとは反対の方向に向かっており、アメリカが次世代の核兵器を開発するために10億ドルを注いでいるとしても、希望を捨てる理由にはならない。アメリカが従来型武器と核兵器の境界を曖昧にする小型核装置を開発して、核戦争の可能性を高めているという事実は不安材料ではあるが、だからといって、これが世界の終焉を意味しているわけでもない。

マティス国防長官が今週東京を訪問する時にこのように包括的な安全保障戦略を提案し、中国との軍事衝突を断じて拒否すべきである。日本人が勇気をだして、果敢に反対の方向に進むべき時なのである。それは本当の安保のためでもあり、日本が世界の本当のリーダーの一員になる道でもある。

 

「韓国は「第2のIMF危機」可能性に備えるべき」 (中央日報 2017年 1月 27日)

 

 

中央日報

「韓国は「第2のIMF危機」可能性に備えるべき」

2017年 1月 27日

エマニュエル パストリッチ

 

 

失業、破産、輸出減少などに対する最近のデータを見てみると、韓国経済状況は1997年の国際通貨基金(IMF)危機の時よりも悪い。

  今回は先進国経済が当時よりも不安定で、経済民族主義の勢力が強まっているため緊急救済金融を得るのは並大抵のことではない。ギリシャの事例から判断すると、多額の借金すれば国家の主権がかなり深刻に損なわれることになる。

  韓国に救済金融を提供する余力がある国は中国だが、中国は現在、高高度ミサイル防衛(THAAD)体系の展開を決めた韓国に対して怒っている。韓国最高のネゴシエーターたちをもってしても救済金融交渉の妥結まで途方もない難関が予想される。

  そのうえ、韓国人を政治的に納得させることができる外国救済金融はない。韓国は自力で資本を形成し、改革も遂行していかなければならない。

  驚くべきことに、韓国がいかにしてこの危機に立ち向かうかに対する議論が国内メディアの間では見られない。韓国が何をするのか、またどのように韓国の経済体制全体を改革するのかについて、タブーを破って公開的な討論を開始するべき時がやってきた。

  銀行から見てみよう。米国のいわゆる「銀行」は、投機的な活動に一段と没頭している。例えば、会社が自社株を再購入して会社の価値を高めるのを助長している。また、国家経済や市民の安寧とは何の肯定的な関係がない派生商品のような、あらゆる「ダークな」金融商品に関与している。

  銀行改革に着手するために金融崩壊を待つ必要はない。一次的に最も重要なのは、銀行が高度な規制の中で、非常に予測可能で極めて「退屈な」存在にならなければならないという点だ。 Read more of this post

“蝋燭を灯す韓国の若者へ” (ハフィントン ポスト 2017年 1月 25日)

ハフィントン ポスト

“蝋燭を灯す韓国の若者へ”

2017年 1月 25日

エマニュエル・パストリッチ

青年の皆さん、

私達(この文章は私とアジアインスティチュートの丘芸倫璘 研究員が一緒に書きました)は手に蝋燭と直接作ったポスターを持って光化門広場に集まった皆さんを見てとても感銘を受けました。大学生もいたし, 高校生, さらに中学生もいました。

市民達が街に出て、法による支配と責任政治を求める姿はすごく崇高なものでした。そこには政治意識の鼓動が遠い国まで鳴り響いていました。

メディアでは平和なデモだと称賛し、今や韓国は民主主義の模範国家になったと褒め称えさえもしました。

しかし朴槿恵大統領が弾劾し、その友人のチェスンシルが刑務所に入ったからと言って全てが終わったと言う訳ではありません。これから新しい挑戦が残っているのです。

 

反動わった市民革命

1960年4月26日にも韓国である大統領が辞任しました。李承晩大統領が学生達と市民達の要求に押され辞任した時、学生達は歓呼し、新しい民主政府が始めると期待しました。しかし学生達は情勢を良く知らず今後どの様な政府を築き、どんな政策を推進するかについての明確な計画を立てていませんでした。

彼らは李承晩辞任後の権力空白期間を利用して誰かが権力の簒奪を狙うという事実を知りませんでした。張勉総理は明確なビジョンを持たずして危ない政治ゲームにばかり没頭していました。その結果はよくご存知だと思います。

朴正熙という利口な若い将軍が軍隊内の不満勢力を募って1961年5月16日にクーデターを起こしました。その後数十年の間、韓国は民主主義とは遠くかけ離れました。

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「光化門を見てみなさい、韓国国民は一流の国民だ。 なのに国会が二流、三流でいいのか」 韓国国会議長:丁世均インタビュー (ハフィントンポスト2017年 1月 5日)

ハフィントンポスト

「光化門を見てみなさい、韓国国民は一流の国民だ。 なのに国会が二流、三流でいいのか」 韓国国会議長:丁世均インタビュー

2017年 1月 5日

エマニュエル・パストリッチ

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丁世均(チョン・セギュン)議員は、昨年6月の選挙で、弱体化していた保守派のセヌリ党に民主党が勝利したとき、国会議長になった。丁氏は、バランスの取れた人格を持ち、感情には簡単に動かされないが、政界内で調和の取れた関係を作ることに長けた韓国政治界の重鎮であり、機関の構築に情熱を持っている。朴槿恵(パク・クネ)大統領の弾劾訴訟以降、韓国政治をリードしていく中心人物として浮上した。

筆者は、韓国の現在の政治的危機と、そこにある挑戦と可能性について、丁氏と話す機会を得た。韓国国民の衆目を集めている男として、彼はおそらく、韓国の政界を正確に評価するのに最もふさわしい人物だろう。

 

エマニュエル・パストリッチ:

政府の日韓軍事情報保護協定締結もTHAADと同様、政府が決定に急ぎすぎたことが国民の怒りを買っていますが、この問題に関してはどうお考えですか。

丁世均:

この問題の重要性や波及効果は、THAADとは比べものにならないでしょう。しかし、過去に日本は正しくないことをしたにもかかわらず、今も過去に対して正直に認めず、謝罪をしてないので、小さな疑惑でも感情的にとても大きく見えるのが事実です。そのため、これが問題になるのです。

また、この問題もTHAADと同様に、きちんとした論議や正当な手続きを経ずに、ことを急ぎすぎてしまったために問題が生じてしまった。この協定締結には情緒的な問題と手続き的な問題があるのです。それに後遺症と言いましょうか、今のところは表に表れていない問題が後に発生するかもしれません。ですから、おそらくしばらくすればこの問題は治まると思われますが、私はこのような国政運営が繰り返されるのは望ましくないと思っています。

エマニュエル・パストリッチ:

政府はTHAADの配置も急いでいますが、これに対して議長の立場をお聞かせください。

丁世均:

私は以前にもこの問題について指摘をしたことがあります。それは韓国にTHAADの配置がどうしても必要だとしたら、まず議会での議論を経て、それからTHAADの配置の候補地として挙げられてる地域の住民とも十分な協議をしなければならない。また、利害関係のある近隣諸国とも慎重に議論をしてから、問題が生じないようにしてからことを進めるべきだということです。

また、これを国内で推進する場合は、民主的な手続きを守らなければならない、と主張したことで、ひどく反対されたことがあるのですが、私はそれを進めるか、止めるかということより、過程がもっと重要だと思っています。

民主的な過程を通した決定ならば、たとえそれがいかなる結論に達したとしても、我々はそれを認めなければならないと考えます。したがって、第一に、その政策を推進する過程が民主的でなければなりません。そして、THAADの問題は国会の同意を得なければならないと私は思っています。

ところが、政府は国会の同意も得ずにこれを勝手に決定してしまった。これは間違っています。

大韓民国憲法で、外国との条約や重要な試案については、国会で批准(同意)を得ることになっているのですが、その重要な試案のうちの一つが財政の負担なのです。

国民が払った税金が投入される事業は国会の同意を得ることになっています。なぜなら、国民が負担しなければならないのですからね。ですから、経済的な負担がある部分に関しては必ず国会の同意を得ることになるのですが、このTHAADの問題について現政府は、「必要な用地をキャッシュ(お金)で購入するのではなく、政府が保有している他の土地と交換するのだ」と言っているのです。

キャッシュ(お金)はかからないとしても、実質的には政府のプロパティー(資産)が他の人にトランスファー(移転)されるのだから、これは国民の税金が使われるのと同じです。したがって、国会の批准を得なければならないというのが私の考えです。そして、国会で議論をして、国会の同意を得られれば配置をし、同意を得られなかったら配置を中止するのが正しいと、私は思っています。

エマニュエル・パストリッチ:

中国の韓国産製品、及び、文化コンテンツの規制、次期アメリカ政権のアメリカ優先主義など、外交分野でもさまざまな問題が山積みだと思います。このような状況の中で国会は何か対案を模索中でしょうか。

丁世均:

私は韓国が原則を守る努力をするしかないと思っています。アメリカは韓国の唯一の同盟国でありながらも、中国とは経済的な利害関係が最も大きい国であります。ですから、両国は共にとても重要な国であることには違いがありません。

したがって、いかなる事案に関してもどうするのが正しいか、また、どうするのが合理的か、そして、その原則をしっかりと立てて、力によって振り回されず、正しいものがあれば、その問題を真摯に、かつ誠意をもってきちんと説明して理解を求める努力をし、そして、正しいほうに進んでいくしかないと思います。そうしないと両者とも満足させることはできませんからね。

最大限に誠意は見せるが、国家的な利益や国際規範、また常識的に正しい方向に進んでいくしかないと、私は思います。

エマニュエル・パストリッチ:

最近、国定歴史教科書の現場検討本の公開をきっかけに、国定歴史教科書の廃止を訴える世論が沸いています。歴史的な脈略から国定教科書問題を考える場合、この問題はどのように解決されなければならないとお考えですか。

丁世均:

私は本来、国定教科書という発想自体が間違っていると強く主張してきました。なので、これは政派的な考えや理念的な次元の問題としてではなく、未来世代への教育、そして、歴史を認識する妥当な視点、こういった次元から捉えるべきではないかというふうに思っています。

したがって、今の韓国の水準から見て、歴史教科書を国定化する必要は全くなく、国定教科書の時代は既に過ぎたということで、国定ではなく検認定教科書にすべきだと思います。それに、国民の大多数が国定教科書に反対し、検認定教科書に賛成しているので、現政府は国定教科書を早くあきらめるべきだと、私は思います。

エマニュエル・パストリッチ:

最近、毎週末、ソウルで開かれる大規模なろうそくデモが世界中の多くの市民から注目を集めています。この大規模なろうそくデモへの市民参加は、アジアだけでなく世界でも稀な活力のある韓国の民主主義精神を反映するケースだと言えます。これに関してはどう思われますか。

丁世均:

これほど大規模な集会が開かれて、これといった事故も起こらず、まったく平和的で、また文化的な要素までもが加味された形で行われていることには、私も驚いています。おそらく、世界の人々はもっと驚いていることでしょう。崔順実事件のせいで恥ずかしい思いをしたのですが、これでカバーできたと思っています。

私は、アジアの他の国の人や世界の人々が韓国を訪れたときに「見よ、これが韓国の民主主義だ!」、また「見たか、これが韓国市民の水準だ!」と、自負しながら話したいくらい本当に画期的なことだと思っています。また、他の議員たちにはこういうふうに話をしています。「光化門を見てみなさい、韓国国民は一流の国民だ。なのに国会が二流、三流でいいのか。国民の水準に国会がついていかなければならないではないか。」と。これは私の本心です。

そのパワーを韓国の未来の希望に、そして、特に若者の失業や両極化など、我々が抱えている様々な問題を解決するのに上手く活用できれば、と思っています。また、そうすることで韓国国民が皆、共に暮らして行ける国になれると期待しています。

エマニュエル・パストリッチ:

韓国は大統領選挙という、重要な歴史的ターニングポイントで新たな指導者を選出することになるのですが、今後、韓国の指導者にはどんなことが要求されるでしょうか。

丁世均:

次の大統領は、新たな時代、例えば、4次産業革命など、我々の目の前に差し迫る新たな時代を理解している人でなければならないと思っています。

それから、韓国を一段とレベルアップさせるビジョンや戦略を持っていなければならないと思います。世の中は今、以前とは違う超スピードで変化しています。今までは上手くやって来ましたが、これからは今までの方法だけではやっていけません。ですから、新たな変化を能動的に感知して、それに対応できる、また、新たな戦略を打ち出せる有能な人物が指導者にならなければならないと思います。

それに、今の韓国社会は少子高齢化問題や若者問題が深刻なのですが、若者の失業や住居など、若者問題についてアイデアを持ち、解決の方法を提示して実践できる、このような人物でなければならないと、私は思います。

エマニュエル・パストリッチ:

議長は、とても合理的で、健全な政治的見識のお持ち主だと知られていますが、今年起こったブレキジット(イギリスのEU離脱)やトランプ当選などから考えてみますと、今後、韓国の保守や進歩も過去のような姿勢では、刻々と変化する政治的要求を受容することができないと思われます。今後、保守や進歩陣営は、どのような点を補完していかなければならないと思いますか。

丁世均:

簡単ではない課題ですね。韓国は「スモール・オープン・エコノミー」と言われており、パートナーと上手く協力してきたのですが、結局、自らが競争力だと言いましょうか、東洋では「自強」と言いますね。自強でなければ、情勢が激変し、多くの困難が混在する状況の中で、自分の地位を守るのはそう簡単なことではないでしょう。

そのため、科学技術をはじめとして、全ての面において、我々は強力さを失うことなく、今まで懸命に積み上げてきた技術をより一層強化させることこそが、混沌する国際情勢の中で韓国が生き残れる道だと思っています。したがって、韓国人の勤勉性や情熱、また、想像力をより一層高める努力が必要であり、そのためには、優秀な指導者が必要だと思います。

そして、今年の大統領選挙で本当に優秀な指導者を国民が選択することで、国際社会から尊重され、韓国と共生しようとするパートナーが多く集まるようになる努力が必要だと思っています。

エマニュエル・パストリッチ:

今後、アメリカの次期政権をトランプ大統領が引っ張っていくことになり、韓国の対外貿易政策路線に関しても多くの人が大きな関心を寄せています。貿易に関して韓国は今後、アメリカの新政権とどのような立場で協議を進めていくべきでしょうか。

丁世均:

政治の論理をもって、しばらくのあいだは、一定の状況を維持することができるでしょうが、長い目で見てみると、結局は経済の論理によって左右されるものですから、先ほども申し上げましたように、韓国が競争力を維持する限りは、ある特定の指導者が何と言おうとも、韓国はこれからも国際貿易において自分の役割を維持していけると思います。

こうした問題を政治や外交で解決しようとせずに、経済に集中して、自らの競争力を維持することこそが危機を克服できる道だと思っています。例えば、「Made in Korea」の製品がクオリティもよく、プライスも手ごろならば、アメリカの消費者もトランプ大統領の思惑に反して、それを購入することでしょう。直接購入する方法もありますし、アメリカの企業もそれを買って消費者の要求に答えようとするでしょうし、必ずしも大統領の言いなりになるとは限らないでしょう。

エマニュエル・パストリッチ:

最近、朝鮮半島を取り囲む東北アジアの情勢は、とても緊迫な動きを見せています。南北の対峙問題を含めて、北朝鮮の核問題によって触発された国際社会の制裁や南北間の緊張状態の高潮、及び、韓国国内の政治的変動において北朝鮮の変数などはどのように見ていますか。

丁世均:

北朝鮮の人民も、韓国の力動性にとても注視していることでしょう。

私は、以前からずっと言い続けてきましたが、北朝鮮の核問題は必ず解決せねばならないと思っています。韓国だけでなく、北朝鮮のためにも核開発はよいことではありません。ですから、北朝鮮の核をなくすよう懸命に努力しなければなりません。ただ国際社会の制裁だけでは解決にはならず、対話が必要だと考えます。

したがって、制裁と対話を平行することで、北朝鮮の問題を解決する方法を見つけなければなりません。制裁はあくまでも対話を引っ張り出すための手段であって、制裁自体が目的になっては行けません。北朝鮮の人民や政権に辛酸を与えるのは核問題のせいであって、彼らが苦しむ姿を見て楽しみたいからではないのです。そのため、私は制裁と対話を並行せねばならないと考えるのです。

エマニュエル・パストリッチ:

議長がお考えになる「与野党協議体」とはどのようなものでしょうか。

丁世均:通常、国会には国会なりの立法部門の役割があり、政府にも政府の役割がありますが、今は大統領の権限が制限された緊急事態であり、しかも私たちは国内外の多くの問題にも直面しています。

そのため、特段の対策が必要です。これを野党は与野党協議体と呼んだり、国政協議体と呼んだりしています。国会の本来の機能は、政権を牽制し、監視することにあります。同時に、法案も作成します。

ところが、大統領に過度に権限が集中しているのが実情であるため、国会の多くの役割の中で牽制と監視の役割をさらに強化すべきだと考えています。また、現在、我々が直面している懸案の解決に国会がより積極的に参与するべきです。そのような次元で最近の言葉で「協治」をしよう、ということです。

現在、交渉団体が4つありますが、与野党間、そして国会内で4つの交渉団体間及び立法府と行政府間の協治する必要があります。ここから与野党協議体のアイデアが出てきましたが、このようなものが必要だと私は考えます。そしてそうした努力を通じて国の緊急事態を克服し、私たちが直面している状況が正常化されるまでの時間を無駄にせずに活用しようというのが趣旨です。

つまり、緊急時に対応する国会と政府、そして大韓民国の機関の協治の努力が必要であるということです。

エマニュエル・パストリッチ:

韓国ではこれまで改憲問題も提起されてきましたが、今回が改憲の機会だという話もある一方、改憲は「第3地帯」などの権力分割のための手段だという指摘もあります。これに対する議長のお考えをお聞かせください。また改憲の方向はどのようになるとお考えでしょうか。

丁世均:改憲は、まず、国民的な共感が基本であり、その土台の上に、国会の各政党が合意をしてこそ、スムーズに改憲が行えます。今はもう、早期選挙が行われることがほぼ確実なので、その前に改憲をすることは容易ではないでしょう。ですが、今年国会に改憲特別委員会が設置される予定です。つまり、政治家側にとって現在の判決、大統領選挙、弾劾は粛々と進行していくものであり、一方で、改憲プロセスはまた個別の議論が行われ、別に扱われるものなのです。

「第3地帯」とは、既存の政党から離脱して、新しく作られたグループのことを指します。この新しいグループは、2政党が推進する方向とは別に自分たちの勢力を育てて、自ら執権しようとするもので、その可能性は常にありますが、現在勢力を得ているとは見ていません。

彼らはもともとこのような弾劾事態がなければ、勢力を拡大するつもりでしたが、弾劾事態が生じたため、彼らもそう時間的な余裕がなく、おそらく難しいでしょう。前述したように、憲法裁判所の弾劾決定と新たな早期大統領選挙という一面と、憲法改正というもう一つの側面がありますが、憲法改正が一体いつになるのかは誰にも分かりません。

いつになるかはわかりませんが、私のもともとの目標は私の任期中に改憲をすることです。そして、改憲の重要な要素は、第一に、分権です。大統領の権限を縮小し、その権限を立法府や他の機関に分け与える水平的分権です。そして、地方分権は垂直分権と言えるでしょう。

中央政府が持っている権限の一部を地域に分け与え、国民の基本権の問題であれ、環境問題であれ、持続可能な成長であれ、さまざまな問題がより広範囲に改憲に反映されることを望んでいます。いわゆる権力構造のみに留まらず、過去30年間の大韓民国の多くの変化や発展が、そこに反映されるような改憲になればと思います。

もともと崔順実(チェ・スンシル)の事件の前に、国民の約60%は改憲に賛成、30%はしなくても良い、残りの10%は分からない、といった世論でしたが、崔順実スキャンダルにより、多くの国民、特に知識人が、「これだから帝王のような大統領制はダメだ。これは政治家の問題ではなく、制度そのものに問題があるのだ」と、批判しており、憲法から制度の見直しを迫られています。

なので「ろうそくデモ」というのは、崔順実一味に罰を与え、大統領をやめさせることが最終地点ではなく、政権を変えることに対して新たな選択肢を作ることも含んでいるのです。民心がそうだといえば、新しい大韓民国を作るために、国会が変わらなければならず、検察も改革され、全般的な改革が必要になるでしょう。

それに加え、「これまで議論されてきた改憲が成し遂げられるべきであり、それこそが根底にあるべきじゃないか」という考えが広がっているため、改憲の雰囲気は成熟していると考えます。

エマニュエル・パストリッチ:

早期の大統領選挙、憲法改正などをはじめとするいくつかの問題と現在の状況を総合的に見て、国会議長として弾劾にどのような感想をお持ちでしょうか。

丁世均:

国会での弾劾決定に与党のセヌリ党62人が賛成したということは、国民の世論を反映したものです。国民78%が弾劾に賛成しましたが、国会の採決も全く同じ結果です。これを見ると、国民の世論がそのまま立法府に反映され、国会議員をも動かしたと解釈できます。

弾劾問題はすでに憲法裁判所に進んだため、憲法裁判所で比較的迅速に、賢明な判断が下されると思います。しかし、憲法裁がどのような決定を下すかはまだわかりません。国会議員らは、改憲においてゆっくりと、しかし、正当な方法で、国会で議論をしなくてはなりません。「ろうそくデモ」の市民は、国会で弾劾決定がされ、憲法裁判所に進んだので様子を見てみよう、と考える国民もかなり多いようです。

しかしながら、国民は必要であればいつでも自分たちの主張を再度行う姿勢です。重要なのは、国政の懸案、例えばインフルエンザ問題や、経済的な危機、慣行的な行為をはじめとする外交安全保障問題によく対処しながら、政治的なプロセスは、プロセス通りに、そして民主的で平和的で穏当に、整然とうまく解決していくことだと思います。

また、政治家が選挙の勝利のために努力するのは自然なことです。私たちが直面している困難や大韓民国の未来について努力し、また大統領選挙に出馬しようとする人々は、国民の支持を得るために努力をして、それぞれの分野のすべての韓国国民が自分の当面の課題に取り組めば良いと思います。

ですから、大統領選挙に出馬しようとする人々が正当な競争をして、国民の審査を受ければ良いのです。その過程で、自分たちのビジョンを提示し、それを競わせ、国民の評価を受けて、本当に良い指導者が出ればと思います。また候補者たちができればネガティブ・キャンペーンをするよりも、自らのビジョンを戦わせて、国民にアピールすることで、国民の支持を得る努力をしてくれればと思います。

時間があまりないですが、良い公約をたくさん打ち出して国民にアピールし、国民の支持を得る、といった建設的なキャンペーンが行われることを期待しています。

エマニュエル・パストリッチ:

国政協議体で議長はどのような役割をするお考えでしょうか。またどのような議題を早急に扱わなければならないのかお聞かせください。

丁世均:

いろいろありますが、民生経済が第一だと思います。第二は、北朝鮮の核問題を含む外交安全保障問題です。民生経済と外交安全保障問題について、政府がこれまで見逃した部分がないか、そして政府を助けられる部分はないか、といった議論をして国政の革新的部分が滞りなく運営されるように、議会と政党が役割をして欲しいと思います。

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“THAADの悲劇” (ハフィントンポスト2016年 12日 24日)

ハフィントンポスト

“THAADの悲劇”

2016年 12日 24日

 

エマニュエル パストリッチ

 

 

 

去る7月8日、韓国国防省と在韓米軍は、'THAAD'(Terminal High Altitude Area Defense missile, 戦域高高度防衛ミサイル)の在韓米軍への配備を正式に決定した。私はこのニュースを聞いてとても残念に思った。これまで色々な誤解はあったにせよ、韓米両国は、軍事同盟によって、北朝鮮の軍事的脅威に立ち向かうべく、協調してきた。しかし、今回の決定は、何の科学的な根拠もなく、また、しかるべき論議も行われることなく、電撃的に下されてしまったのである。

実際に、今回のTHAAD配備の決定は、ミサイル防御システムの効用性を疑う、多くの専門家の意見を受け入れずにして下された。韓国政府の今回の決定は、どうしても潜在的な経済的利益を念頭においたものと見えるのだが、これは正に、百数年前、第一次世界大戦の悲劇をもたらした国際武器商人の戦略に似ている。

まず、THAAD自体のミサイル防御能力が、旧式のシステムであるということから指摘したい。THAADは、高高度に飛来するミサイル対してその威力を発揮するものだが、北朝鮮が韓国を攻撃するにしても、高高度のミサイルを発射する必要は、まずない。北朝鮮が数万人の韓国人を殺傷するにためには、ミサイルではなくとも、直接砲撃だけで十分なのである。ソウルは北朝鮮の保有する放射砲の射程圏内に入るからである。

結論的に、北朝鮮の放射砲は、THAADで迎撃する必要などないのである。しかも、既に色々な非効率的なミサイルシステムの戦略が構築されており、THAADが高高度ミサイル攻撃に対処するミサイルであるとすれば、これはミサイル攻撃体系を強化しようとする中国を刺激するだけである。

大陸間弾道ミサイルの脅威に対処する唯一の方法は、ヨーロッパに安定をもたらしたSALT(Strategic Arms Limitation Talks、戦略武器制限交渉)のような軍備制限条約を結ぶことである。1970年代の初めから冷戦関係にあった東西の両サイドは、お互い一致しない様々な理解関係を三つの協議によって調整した。モスクワとワシントン間での核兵器協議、CSCE(ヨーロッパ安全保障協力会議)での政治・経済的な論議、そして、ヨーロッパでの軍備減縮及び相互軍備減縮協議がそれである。しかし、今日のアメリカは、東北アジアにおける軍事的緊張関係の緩和のために、そのような接近方式は全く考慮していない。

今回の決定が、何よりも平和に無心であることは大きな不幸である。実は東北アジアの平和を脅かす一番の原因は、ミサイルや核兵器類などではない。

この決定の悲劇はそれだけではない。 実は東北アジアの平和を脅かす一番の脅威はミサイルや核兵器類実態ではなくて緊張した環境である。 アメリカを始めとして、東アジア全域に非核化体制を成立させ、平和を振興したら、武器を使用する危険を減らせるだろう。

しかし、無人航空機技術は、速い速度で発展しており、今や世界の安全を脅かす脅威にもなっている。しかし、無人航空機を利用した、未来の戦争を遂行する主体は、国家自体でもない。しかも、我々は、未だに無人航空機に関するいかなる類の協約さえも議論したことがない。無人航空機は、東北アジアの武器競争構図を悪化させるだけである。

それに、何よりも、我々が恐るべきことは、気候変動による脅威、例えば、海水面の上昇、砂漠地域の拡大などによって、地球上の全ての国にの、数千万にも及ぶ人々は潜在的な混乱に陥るということである。今後、最も費用がかかるのは、おそらく、化石燃料を減らし、燃料消耗の少ない生産設備を導入した社会基盤施設を構築し、それによる政治的、社会的基盤を整備することである。今こそ、アメリカ、中国、日本、ロシアを始めとする国々が、気候変化に対処する長期的な方案などについて協調し、共通のアジャンダの確立に努めなければならない。

韓国としては、ワシントンDCの、惰性に染まったシンクタンクから出た、THAADのような誤った決定に順応し、翻弄される暇はない。我々には、このようなことに没頭する余裕もなく、万が一、このような武器競争が加速される場合、韓国は一番の犠牲者になるであろう。東北アジアの気候変化やそれによる脅威に韓国が断固とした態度で臨み、解決策を見出そうとする意志を見せた場合、そして、この問題について韓国が他の国々を包容する意志を見せた場合、アメリカだけでなく、韓国もまた案外多くの支援勢力の支持を得られることであろう。

しかし、韓国が誤った情報を根拠に、金銭的な、もしくは政治的な利益だけにとらわれて、昨今のような近視眼的な政策を続けるならば、ますます不必要な経費を支出するばかりか、結果的には、子孫の反感を買うだけである。

 

「気候変動の解決は日本の高度経済成長の戦略と精神にあり」 (ハフィントンポスト エマニュエル パストリッチ)

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「気候変動の解決は日本の高度経済成長の戦略と精神にあり」

2016年 12日 5日

 

エマニュエル パストリッチ

大野健一の著書『途上国ニッポンの歩み-江戸から平成までの経済発展』は、英語にも翻訳され海外でも広く読まれている。最近ではマレーシアなどの発展途上国が日本の高度経済成長を手本にしていることも話題になっている。

確かに、1960~70年代に成し遂げた日本の産業化が輝かしいものだったことに異論はない。だが、今日の発展途上国にそのビジョンを伝授することよりも、当時の戦略や精神を日本国内で復活させる時期を迎えていると私は考える。今こそ日本は新たな高度成長を牽引していかなければならないのだ。

今度の高度成長では、鉄鋼、石油化学の設備拡大、電子部品や自動車の輸出など、一世代前の産業に重点を置いてはならない。新たな高度成長は1960、70年代に日本が経験した時よりも断然に速いスピードで進んでいくはずだろう。しかし、何よりも気候変動というとてつもない脅威に、その都度対応できる日本の技術及びインフラ整備のノウハウの集積に集中しなければならないのだ。

以前の高度成長期の精神や長期的なビジョンは必要だが、方向性は正反対でなければならない。脱石油、脱石炭よりもまず有機農に重点を置いて、伝統の持続的な経済体制を一日でも早く回復することを目的にしなければならない。

TV、洗濯機、冷蔵庫の三種の神器の代わりに、低価風力や太陽光パネルを一日でも早く義務化し普及させ、先進技術を活用した完璧な住居の建築、石炭、石油、原子力の依存から脱却した「東洋の奇跡」の再現を目指さなければならないだろう。

もちろん、新しい経済体制を発展させるためには、昔の知恵を活用しなければならない。例えば、高い教育水準を利用して経済発展を成したように、市民の教育水準を向上させて、特に環境に関する教育や環境管理、環境技術の発展に関連した教育を活発に進めていかなければならないだろう。ただし以前と異なり、農業分野を大事に育てていかなければならないことになる。

以前、日本は、玩具、繊維、自転車、オートバイ、自動車、飛行機から半導体に至る先端技術の開発のため精細でかつ長期的な計画を立て実行していた時期があった。日本政府は専門性を確保し、インフラを構築すると同時に、この技術自体に対する理解やそれに加えて、それによってもたらされる変化にも対応できる体系的な人力養成プログラムを行っていた。

しかし、最近日本は「第5期科学技術基本計画」で科学技術に関する長期的なプランを立て、施行したものの、残念なことに国家的事業の統合的なアジェンダとして機能できずにいる。この基本計画は、日本社会や経済体制を根本的に変革する総合的な計画というよりも、単なる生産効率性や世界市場の攻略に重点を置いているだけなのが現実だ。

しかし、気候変動対策及び有害汚染物質の排出やエネルギー消費の削減など、今日当面している大きな変化は、過去の経済や技術開発に匹敵するほど重要な課題として浮上してきており、日本としてはこのような変化に向き合いながら、経済及び技術開発などの計画を再編成する必要がある。

私は、以下の三つの観点を基盤にして、未来を予測し計画を立て実行していく新たなアプローチ法を提案したい。

第一に、10年、20年または30年後の日本の自然環境がどうように変化しているのかを考えなければならない。海水面がどれだけ上昇するのか、干ばつの程度と頻度、そして台風や津波などの巨大な自然災害は将来どのように変化していくのかを熟考しなければならない。また、地質や緑地、農業や海洋の生態系はどのように変化するのかなども考慮すべき重要事項である。

第二に、現在の技術開発の方式がいつまで有効なのかという問題である。これは、現在の技術開発がいつ全面的に無炭素方式に代わるかという問題と関連している。今までの技術開発方式は無炭素方式とはかけ離れており、これによる環境への脅威は憂慮すべき水準だからである。

第三に、未来の気候変動による脅威に対処できる技術開発のインフラをどれだけ先制して構築することができるかが問題である。

我々は、まず2021年までに全てのビルに太陽光パネルと効果的な断熱設備を導入することを目標にしなければならない。この計画は、産業、学会、政府、技術、流通、教育などの各分野、そして地域社会の積極的な参与を誘導できるように都市再生事業と連携がなされなければならない。

具体的には、窓ごとに薄膜太陽電池や先端の断熱材が迅速に導入されなければならない。この他にも、太陽や海水面の上昇などの巨大な自然災害に対する備え、または緑地や海洋生態系及び地質改善なども念頭に置いて計画する必要がある。

この長期的な計画は、単なる生産や輸出ではなく、気候変動の脅威に日本がどのように対応するかにかかっている。特に、島国である日本にとっては、海水面の上昇は他の国々よりも差し迫った脅威である。したがって、海水面の上昇や地球温暖化に対応することは、当然日本の国家的安保アジェンダの中心に置かなければならず、市場中心の思考から一日も早く脱却しなければならない。

長期的な計画のためには資金確保も重大な問題である。この資金は気候変動による国家的対応に基づいた公的資金でなければならず、いかなる方式であっても、私益の投機性資金ではその使い道に期待することはできない。

つまり、現在の危機は半導体、自動車、鉄鋼及び石油化学産業が日本にいかなる未来を招くものなのかを問いただし、新たな未来を描いていかなければならないことを意味しているのだ。未来を予測し計画することで気候変化の脅威を集中的に考慮しなければならないのである。

政府は、決断力のあるリーダーシップを発揮し、戦争時にありとあらゆる技術力を結集して対応するように、気候変動という長期的で巨大な脅威に対応しなければならない。この問題を聖域化し対応を先延ばしにすることは許されない。

政府は、産業全般にわたって化石燃料の依存度の減少や断熱材の普及を達成させる5ヶ年ごとの計画を立て、実行するべきである。何よりも重要なことは、こうした計画がきちんと日本の企業文化やマインド、政策などを十分に考慮し、目標に向かってより早く変化できるようにデザインされていなければならない。

また、他の産業国よりも早く達成することで、日本が他国の模範となり、世界に日本の威信を見せつけられる価値のあるものになりえるだろう。

当面、二つの5ヶ年計画が必要だろう。一つは、気候変化を受け入れるためのもの。そして、もう一つは、それによってもたらされる脅威を緩和するためにだ。この二つのプランはどちらかが欠けてはならないし、成功するためには両者が緻密にリンクしていなくてはならない。

この計画は、日本の文化や慣習、通念に変化を要求するものであるし、日本の金融、貿易、投資ポリシーの変革も避けられないだろう。しかし、これが成功すれば、石油輸入を外国に頼り、石油資本に隷属する歴史は終わり、世界中の手本になることだろう。

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