Category Archives: 日本語

「日本本には技術よりも科学的思考が必要」 (ハフィントンポスト  2017年 6月 26日)

ハフィントンポスト

「日本本には技術よりも科学的思考が必要」

 2017年 6月 26日

エマニュエル・パストリッチ

 

日本人は様々な状況において、自国が成し遂げた最新の技術革新を誇ったりする。また、時には他の国が支配する技術をうらやましがったりもする。私はこの10年間、日本の研究機関と協業して、日本社会を監察してきた。その結果、日本における最も深刻な問題は技術不足ではなく、科学的思考の衰退だと確信が持てるようになった。

最新の自動車やロボットは日本人には何か奇跡的なものとして感じられるようである。このような感覚は技術的な成就に畏敬の念を吹き込むのだが、既存の思考に安住してしまい、批判的な分析能力を急速に低下させてしまう。スマートフォンが政府や経済にどのように作動するのか、その原理を理解しようと試みなければならない。

日本メディアの流すニュースに対しても、視聴者は面白くないものには興味を示さず、複雑なテーマも単純化して一行の文章に要約できると考えている。もちろん、短いプログラムを撮影して編集するのに使用する技術は最先端のものである。

卓越した広帯域サービスのおかげで、日本では最新のスマートフォンでプログラム(動画)を即時に視聴することができるようになった。脳の部位には思考を司る部位と感覚的な刺激に反応する部位とがあるが、前記したような状況において、エンジニアたちは前頭葉皮質を活用して、相当な思考の過程を経なければならない。しかし、メッセージが伝わる所は、感情的な反応を処理する、扁桃体に代表されるような原始的な機能を備えた脳の部位である。

日本の国民は教育、マスコミ、政策の決定が科学的方法で厳しく規制されることを強く要求しなければならない。それは日本社会の階級の下部に属する国民の利益の為に必要な規制だからである。 Read more of this post

「アメリカ人がみた韓日文化」 パストリッチ講義 大阪韓国文化院

第十回教育院
韓国文化研修会
駐大阪韓国文化院

水曜日 8月 2日 午前十時

「アメリカ人がみた韓日文化比較」
エマニュエル パストリッチ

 

(申し込み方法:申込書をosaka@k-culture.jp に送って下さい)

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第10回 教職員 韓国文化研修会 チラシ(プログラム・募集要項・申込書)

 

 

 

アジアインスティチュートの付岩洞マグカップ開発 (アジア経済情報紙 THE DAILY NNA)

Daily NNA

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“「若者の道」 フランシス・フクヤマ教授に聞く” ハフィントンポスト

ハフィントンポスト

“「若者の道」 フランシス・フクヤマ教授に聞く”

2017年 6月 13日

エマニュエル・パストリッチ

 

 

 

フランシス・フクヤマ教授はアメリカ生まれの日系3世で、現在はスタンフォード大学の民主主義・開発・法治主義センターに在職中である。

1989年、「歴史の終わり(The End of History)」という論文で、人類の歴史の進歩は自由民主主義と市場経済の最終勝利によって終着点に達したと主張して世界的に有名になった。主な著書は、「歴史の終わり」、「人間の終わり」、「政治の起源」等がある。

エマニュエル・パストリッチ:
最近の若者たちは身動きの取れない状態です。不利なシステムに閉じ込められ、脱出する手立てもなく、五里霧中にさ迷っています。若者たちはやればできるという期待感と現実との狭間で悩んでいます。

どうして社会がこうなってしまったのでしょうか。若者たちが重要だと思う優先順位と実際の政策との間に大きな格差が開いてしまった理由は何でしょうか。

■ 労働市場の変化、そして、若い世代の不安感の増大

フランシス・フクヤマ:
その質問についていくつかお答えします。

基本的に、若い世代はいつも体制に疎外感を感じてきました。若いために、直接政治に参加できる社会的地位や資格がありません。社会問題を身近に感じている若者でも、いざとなると意志決定過程には参加できません。歴史上、常にそうであったように、現在でもそう変わりはありません。

しかし、労働市場自体にも変化が生じました。変化が最も顕著な国はアメリカですが、アジアも例外ではありません。良質の職を見つけるのが難しくなり、企業が要求する条件は増えるばかりです。

基本的に、STEM (science:サイエンス、technology:テクノロジー、engineering & mathematics:エンジニアリング&マスマティック) 領域を専攻していなければ、志望さえできない仕事が多くなってきました。企業側が望む専攻がなければ、履歴書さえも検討してもらえない世の中になったのです。

社会がこのように変化したため、若者たちは非常に強い不安感を抱くようになりました。機会を逃さないように、一日中勉強だけに専念する若者もいます。

アジアの場合、このような現象がより深刻です。それに加えて、世界的に大きな政治変化や激動が押し寄せてきました。

アジアはまだヨーロッパやアメリカほど破壊的な政治変化は経ていません。政治的に重要な事柄には大衆の参加が制限されており、ほとんどの青年たちは積極的な政治参加を最優先にしてはいないからです。

しかし、最近、韓国の弾劾デモを見ると、変化が起こり始めているのを感じます。状況もとても早く変化しています。政治に関して普遍的真実があるとするなら、政治に関心がないように見えても、ある瞬間、インスピレーションを感じれば、いきなり熱烈的に参加するようになるということです。なので、表面だけを見て、若者は誰も政治に関心がないと断言することはできないのです。 Read more of this post

パストリッチの引用 「朝鮮半島、高まる緊張 」

アジア経済情報紙 NNA
(韓国版)
2017年4月13日

朝鮮半島、高まる緊張
日系企業、事業継続計画見直しも

「民間シンクタンクのザ・アジアインスティテュート所
長のパストリッチ慶熙大学副教授も「米国や韓国の軍
隊、日本の自衛隊でさえ官僚によってコントロールされ
ているだけでなく、技術の発展で自動化も進んでいるた
め、指導者の誤った判断一つで偶発的に全面戦争に拡大
しかねない状況だ」と警鐘を鳴らす。」

 

“朱子学の伝統は現代社会の危機を救える” (ハフィントン ポスト 2017年 3月 22日)

ハフィントン ポスト

“朱子学の伝統は現代社会の危機を救える”

2017年 3月 22日

エマニュエル パストリッチ

 

 

朱子学を強いて高校の教科書に出てくる言葉を借りれば、「江戸時代に近代化に反対した保守派の思想である」と定義することができる。

そして今になっては、博物館で展覧するような、我々の生活に何の役にも立たない骨董品のような取り扱いを受けている。が、それは本当にそうなのだろうか。

もちろん、男尊女卑といった、女性に対する差別や極端な親孝行思想など、問題点は多いが、現代の日本社会のような、深刻な道徳崩壊の問題に直面しており、気の狂った消費文化に溺れている病む社会では、未だに朱子学の伝統から見習う点が多々あるのではないだろうか。

それは目上の者の命令には無条件に従う、といったことなどからではなく、朱子学の最も魅力的な点である、行政、教養、道徳の融合から探し出せるかも知れない。

私たちは、まず、朱子学の遺産とは何なのか、そして、今の時代に偉大な知的伝統の価値を見出すためには、なぜ、学問的努力を傾注することが重要なのか、綿密に考える必要がある。

朱子学は南宋時代の学者、朱熹(1130~1200)によって明文化された哲学体系の総称であり、後の中国、日本では国家イデオロギーの礎を形成することになった。 Read more of this post

「韓国国家情報院改革のための10つの原則」 中央日報 2017年 3.月 15日”

中央日報

「韓国国家情報院改革のための10つの原則」

2017年 3.月 15日”

エマニュエル パストリッチ

 

 

憲法裁判所を不法査察したというデマが国家情報院を再びスポットライトの中心に追いやった。今回は情報機関の改革が政争のネタや扇情的な記事のネタではなく国家安保の主題に浮上しかねない。われわれは情報機関が信じるに値する正確な情報を立法者と市民に提供するよう作った方案を大乗的に点検しなくてはならない。「偽ニュース」のような、わい曲された情報が横行しているインターネットジャングルの時代に、政策安定性を確保して扇情主義的なメディアに対する役人たちの依存度を減らすには、もっと正確で客観的な情報ソースが必要だ。

容易ではない改革のための原則がいくつかある。1つ目、最高の人材が当面の政治的利益よりも実際の挑戦に立ち向かうべきだ。米国は、9・11テロ以降、莫大な資金を情報分野に注ぎ込んで画期的な発展を収めるかのように見えたが、間もなく質的な低下が発生した。情報分析の核心である「人間」が軽視された。政界の目を引きつけたのは数十億ドルのプロジェクトに含まれたコンピュータと人工衛星だった。コンピュータ技術力も重要だが、韓国はコンピュータが人間を惑わすがままにしておいてはいけない。 Read more of this post

「判事の全員一致、米国ではありえず」パストリッチ NNA ASIA 共同通信

image1NNA ASIA アジア経済ニュース

共同通信

2017/03/13

憲法裁の弾劾認定、識者はこう見る

■「判事の全員一致、米国ではありえず」

パストリッチ・慶熙大学副教授

日本文学専攻、アメリカで10年間教授をつとめた。民間シンクタンク、アジア・インスティテュート所長

大統領の弾劾が成立したことは米国人にとって驚きだっただろう。米国には弾劾された大統領がいない。ウオーターゲート事件で追い込まれたニクソン元大統領は弾劾前に辞任を選び、その後赦免された。朴氏にも国の混乱を回避する選択肢があったのではないか。

米国の場合、進歩と保守の基本的な思考方式はあまりにも違うので対話はまず不可能。米最高裁の判事が自らの理念や主義よりも民意を優先することはありえない。民意を反映しやすいのは韓国の司法制度の長所と言えるが、一方で、判事の判断基準は曖昧になりがちだ。

憲法裁判所の李貞美所長代行が決定文を読み上げる様子は、芝居を見ているような面白さがあった。決定文の最後になって弾劾認定ということが分かった。韓国人には感動を与える効果があったようだが、最初に結論を述べる米国スタイルと比べると違和感を覚えた。

また、朴氏の疑惑に関連する調査と裁判が長期化する場合は、共に民主党が大統領選挙に向けた政策論争を曖昧にするなど政治的に利用される恐れもある。今回の弾劾認定は韓国の誤った政治文化の改革につながらなければ意味がない。「大統領不在」の長期化による外交の停滞も心配だ。

■「安定政権が誕生すれば、日韓関係改善も」

木村幹・神戸大学教授

比較政治史

弾劾が認定されたことで保守派の崩壊は決定的となり、革新系「共に民主党」での党内選挙が実質的な大統領選挙となる可能性が高くなった。現状では文在寅氏が圧倒的に優勢だが、「文氏が大統領になると日韓関係が一層悪化する」とみるのは早計だ。日韓関係が良好だった時期を分析すると、いずれも大統領の支持率が高かった時期と重なる。保守か進歩(革新)かはあまり関係ない。実際、日韓関係が「過去最悪」と言われた2011~15年は保守政権だった。

文氏が圧倒的な支持を背景に安定的な政権を作ることができれば、日韓関係が改善に向かう可能性は十分ある。文氏は盧武鉉政権時代に青瓦台(大統領府)で秘書室長を務めたことのある人物で政権運営のノウハウを知っている。朴氏と前回の大統領選挙を戦ったことで「身体検査」も済んでおり、これ以上、スキャンダルが出るとは考えにくい。ある意味で、最も安定した政権を作れる条件を備えているといえる。懸念があるとすれば、北朝鮮に対する融和的な姿勢だ。開城工業団地の稼働を再開する可能性は高い。しかし今の朝鮮半島情勢を考えれば、それくらいしか打つ手がないともいえる。

ただし、国民の期待が大きい分、次期大統領が受けるプレッシャーはかなりのものとなるだろう。経済の低成長や格差の拡大など社会全体に閉塞感が漂っているが、次期大統領が打てる政策の幅は限定されており、期待が一気に失望に変わる恐れがある。憲法裁の今回の判断で、大統領弾劾に対するハードルが低くなったのも気がかりだ。

■「選挙サイクルが変わり、政治行動に変化」

浅羽祐樹・新潟県立大学大学院教授

韓国政治学

「ろうそくデモ」と「太極旗デモ」に韓国社会が分裂していた中で、憲法裁判官8人が全員一致で罷免を決定したことは、紛争の最終解決者として国論を統合する上で、意味が大きい。日本では「法よりも民意を優先する」として韓国に対して否定的なイメージを持ちやすいが、「弾劾」の制度趣旨を考えれば、民意をある程度反映するのはむしろ当然だ。89ページに及ぶ憲法裁の決定文を読んで、法理検討を丁寧に行い韓国の法制度が十分に機能したという印象をもった。

朴氏の罷免により、民主化後30年続いた選挙サイクルが変化する。5月に大統領選挙が実施され、次期大統領の任期は当選と同時に始まる。これまでの12月選出、2月就任という選挙時期にずれが生じることになる。韓国の政治家は選挙のタイミングによって影響を受けるため、4年ごとの総選挙や統一地方選挙、与野党内の統制力などにも大きく影響してくる。ゲームのルールが変わることで、政治家の戦略や行動パターンも当然変化してくる。さらに、次期政権では憲法改正が焦点になる。

5月の大統領選挙については、「共に民主党」の党内予備選が事実上の本選となるだろう。予備選は文在寅前代表と安熙正・忠清南道知事との争いとなるが、文前代表が当選する可能性が高い。ポートフォリオ(分散投資)は必要だが、チップの張り方にはその都度メリハリが必要だ。

文前代表が次期大統領になれば、日韓関係のさらなる冷え込みが懸念される。15年の慰安婦合意に関して、破棄とはいわないまでもプラスアルファの再交渉を求めてくる恐れがある。ただ、安保分野では北朝鮮の核問題やミサイル発射を念頭に、昨年11月に締結した日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)などで引き続き連携していくものとみられる。

■「極めて常識的かつ合理的な判断」

朴チョルヒ・ソウル大学国際大学院院長

国際政治学

憲法裁の判断は民意に沿った極めて常識的かつ合理的なものだった。

憲法上与えられた大統領の権限を尊重しながらも、弾劾訴追を巡る争点の一つ一つを法律に従って判断していったためだ。「自らの手で勝ち取った民主主義を守ることができた」と国民は胸をなでおろした。

弾劾の是非を巡り分裂した国民が一つになるのは簡単ではないが、60日後の大統領選挙に向かって徐々にまとまりを取り戻すだろう。弾劾に反対するデモも盛り上がったが、彼らは何があっても朴氏を守ろうとするグループであって、本当の意味で保守派とは呼べない。今後も憲法裁の判断に異議を唱えれば唱えるほど、孤立を深めることになるはずだ。

現状では文在寅氏が次期大統領になる可能性が高い。日韓関係は厳しくなるだろうが、すでに最悪の日韓関係を経験した後なので、十分に免疫はできている。ただ「文氏=反日」という考えは一度捨てた方がいい。盧武鉉元大統領は反米のイメージが強いが、政策だけで見ると後にも先にもないくらいの親米政権だった。米韓自由貿易協定(FTA)交渉を開始したのが好例だ。

また長嶺安政大使が一時帰国する原因となった少女像にはこだわりすぎない方がいいだろう。新たに少女像が釜山に設置されたのは遺憾だが、撤去を大使帰国の前提条件にすると、慰安婦問題の解決を日本との対話の前提条件とした朴氏の時のように日韓関係が再び膠着する恐れがある。

■「保守は結集して左派政権誕生の阻止を」

尹昶重・元大統領府報道官

大手新聞社の政治部記者出身。現在は保守派の有力コメンテーター

憲法裁の判断は全く承服できない。大統領に抗議し退陣を迫った「ろうそく集会」の主張や特別検事の捜査結果をそのまま認めただけだ。メディアや野党を含めた左派勢力によって自由民主主義が崩壊してしまった。60日後の大統領選挙では、保守派は結束力を高めて北朝鮮に親和的な左翼政権の誕生を阻止しなければならない。

現時点では、文在寅氏が次期大統領の有力候補であることは事実だ。しかし、文氏人気は朴氏不人気の反動みたいなもので、弾劾騒動が一段落すれば、支持基盤は弱まるだろう。

かつて「共に民主党」の事実上のトップだった金鐘仁氏の同党離党が良い例だ。金氏は「政界渡り鳥」と言われており、政治部記者として30年以上政局を見てきたが、彼ほど権力への嗅覚が鋭い政治家はいない。権力があるところには必ず金氏がいた。その金氏が離党したということは、文氏が大統領になる可能性はないと判断したということだとみている。

“世界を脅かすトランプ政権が作っている災難” ハフィントン ポスト

ハフィントン ポスト

“世界を脅かすトランプ政権が作っている災難”

2017年 3月 7日

エマニュエル・パストリッチ

 

 

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“「No」と言える日本は絶対に必要 日本はマティス国防長官に独自の安保ビジョンを提案すべきである” (ハフィントン ポスト 2017年 1月 25日)

ハフィントン ポスト

“「No」と言える日本は絶対に必要 日本はマティス国防長官に独自の安保ビジョンを提案すべきである”

2017年 1月 25日

エマニュエル・パストリッチ

1989年に石原新太郎が「Noといえる日本」という本を出版して非常に話題になった。その当時、日本に留学中だった私にはあまり興味の持てない内容であった。この本のなかで石原が唱える政策が有用であるとは今でも思わないが、しかしながら、今の日本には「Noといえる」精神が必要ではないかと思う。

トランプ政権は、中国がアメリカに対して執拗な敵意を持っているために、交渉相手にはなりえないという前提のもと、去年、オバマ大統領と習近平主席が合意した気候変動に関する協力関係を反故にするなど、躊躇なく 挑発的な発言をしている。

アメリカのマティス国防長官は今週の水曜日に東京を訪れ、北朝鮮の脅威を名目に、日本の防衛省を訪問する予定だが、その本音は間違いなくアメリカ、韓国と日本が手を組んで中国に軍事的に対抗しようという内容であるだろう。トランプ政権が、尖閣列島と南シナ海をいつでも軍事的に対応可能な地域にしようと力を注いでいるのは事実である。しかし、トランプ政権は、明らかにアメリカ合衆国を代表するものではなく、連邦政府の一部のみを代表する勢力にすぎないのである。

次期国務長官に内定したレックス・ティソンとホワイトハウスも、南シナ海にある島の領有権を主張している中国に、その島から撤退させるよう、アメリカが積極的に対応することを提案した。

このような発言は、あまりにも扇動的なので、彼らが頭の中だけで考えているのではないかと疑う人も多い。しかし、彼が主張していることは明確である。これは、戦争宣言であると言っても過言ではないのである。

日本はマティス国防長官に対し、外国政府の代表として礼をつくす必要はあっても、協力する必要はない。

日本がその未来について慎重に考えるなら、このようなトランプ政権の提案に対し断固として「NO」と言わなければならない。日本は中国と長い間、密接な関係を結んできており、ビジネス、学術研究、地方自治体やNGOなど、あらゆるレベルで日本にとって有益な交流が数多く行われている。

中国と経済的な関係を更に緊密にし、友好的な関係を維持・発展させることは、日本の発展にとって必要不可欠である。

しかしトランプ政権は、アメリカがまったく領有権もない南シナ海において、国連を無視して 中国を牽制するための 軍事的な対抗策に乗り出すだろう。 本当は、世界各地で起こる領土紛争を管理し、解決する方法は他にいくらでもあるのに、である。

アメリカは、東アジアの安全保障に積極的な役割を果たすことができ、中国はそのような役割に反対してはいないということを明確にしなければならない。

中国が敵であるという論理は、愚かな軍国主義者たちが作り出した、理にかなわない見解である。中国は単純な国ではない。世界の人口の6分の1が中国人なのだ。中国は殆どの国際機関において既に主要なメンバーであるだけでなく、最近の中国は、海外での活動において、アメリカよりも遥かによく 国際法に従っているのである。

この文章は時事についての軽い論説ではなく、誰より深く日米関係について考え抜いてきた者としての発言である。

私が1987年にイェーイル大学を卒業して日本に行ってまもない頃、エドウィン・O・ライシャワー大使が私の所属していたアメリカ人留学生の集まりにちょっとした激励の挨拶をしに訪れたことがある。その当時の私は文部省留学生として、日本古典文学の研究に励んでいたが、ライシャワー大使が私に言ったことは、古典文学に集中しながらも、現在の日米関係を常に意識すべきだと言うことだった。

あれからちょうど三十年が経つが、私は忘れることなくライシャワー大使の言葉を覚えている。ライシャワー大使はハーバード大学の燕京研究所の所長を務め、多くの人に日本文化を紹介した。それだけでなく、駐日アメリカ大使も務め日米経済、安保、外交にも大きく貢献した。当時の私は彼の足元にも及ばない、未熟な青年であったので、その模範的な姿に深い感銘を受けた。

その後、私は研究に励んで、東京大学の比較文学研究室において日本語で日本漢詩文学についての修士論文を書き、さらにハーバード大学の燕京研究所で江戸時代の小説についての博士論文も提出した。さらに、上田秋成、荻生徂徠、伊藤仁斎について研究しながらイリノイ大学とジョージワシントン大学で十年のあいだ、日本文学の教授をした。アメリカの学生に日本の素晴らしい文化を紹介することは、私にとって光栄でもあり幸せでもあった。

私は今もなお日本との交流を盛んに行っているので、たびたび日本語で文化と外交について発表したり、文章を書いたりする。トランプ政権にいる誰よりも、日本を大切に思っているアメリカ人である。

トランプ政権の政策方針が、軍事力強化に向かっているにもかかわらず、日本人がそれに深い疑問を抱いても、受身な態度でワシントンからもたらされた提案を受け入れている。反対する論理は、日本政府には全く準備されていない。日本側には他のビジョンを提案するより、あまりにもマンネリ化した日米関係の惰性にしがみつく傾向があるようにさえ感じる。

また、戦争する国家ということで、明らかに日本の国益にならず日本の国家主権も反している場合には、平和憲法9条だけを強調していてはいけない。

→また、戦争も辞さない国家で、明らかに日本の国益にならず日本の国家主権にも反している相手に対して、平和憲法9条だけを強調していてはいけない。(の意味か?)

日本の教育水準は非常に高く、技術の領域のおいては常に創意的な革新をしている。にもかかわらず、軍事戦略、安全保障、先端技術の軍事的利用については、ワシントンのシンクタンクが生み出す理論と常識を盲目的に真似ているのは皮肉なことだ。日本人は、アメリカにおいて「安保」というのは、「濡れ手に粟」のビジネスであることに気づいていない。日本人は十分に独自の安全保障の研究ができるのであるが、実際には、そのほとんどが輸入品である。

戦争する国より「安保」を定義する国へ

日本がわれわらが直面している現実にもとついて日本なりの安全保障ビジョンを出すには、 最近国際社会の傾向を 深く考えてそれに応じて新しいビジョンをマティス長官に 出すべきだ。科学的な視点を持って今の安全保障問題を客観的に分析すれば数多くの人が納得できる反論が十分に可能である。

今や技術は前例のない速度で進化している。2年ごとにコンピューターチップの性能が二倍に進化するという「ムーアの法則(Moore‘s Law)」が、世の中を大きく変化させている。このような急激な変化は、とても予測できない部分もあれば、安保分野のように甚大な影響を及ぼすであろうと予測できる部分もある。

確かに将来の安保問題は、今までとはだいぶ性格が異なるであろう。そのため、どのような手段を使用するかについて再考が要求されるのは当然である。でも今のところ日本の政治家、公務員、学者が「安保」を考えるには 非常に可能性の低い北朝鮮の核兵器攻撃を仮定として 軍事準備には莫大な資金を投入しながらも、気候変動のように生死の問題に直結する問題へ取り組む機会は、逃しているのである。

安保問題の解決には多国の協調が必要で 、今度は前時代の暗黙的な想定や、安保概念の偏狭な偏見を超えて韓国、日本、中国、そして、アメリカが 互いに緊密に議論していかなければならないが、その際、注意しなければならない点が二つある。

第一に、今後の技術変化が、不必要な武器体系を生み出す要因になる可能性を追及しなければならない。また、軍事的なイシューについても、より慎重に再考する必要性を常に疑うべきである。もしかすると、これは今まで想像してきた伝統的な民族・国家の域をはるかに超えるものかもしれない。

第二に、普遍的な倫理観を以って、破壊的な潜在力を持つ次世代の武器体系の開発を制限するべきか、それとも、一層厳重な武器制限条約を作ることによって、より厳しく規制するべきかを考慮しなければならない。そして、気候変動に対する適応や緩和に必要な費用を考慮した場合、果たして今後、20年間、従来型武器の費用を賄う予算があるのかについても、問いただすべきであろう。

今こそ、人類の貴重な資源が人類生存に不可欠な基本的条件に効果的に使用されるよう、武器を制限し、禁止する厳重な合意案を作るべきではないであろうか。

技術は安保の本質をどう変えるのか

果たして最新技術が今まで武器体系が担っていた重要な役割を代行し、それによって軍事紛争の本質は変わるのであろうか。

我々自身は人の本性をよくわかっているつもりでいても、実はよく分からないものである。だから将来、人間同士の争いがなくなったり、戦争抑止の必要性がなくなるだろうと仮定してはならない。一度に多くの人を殺傷できる技術は日に日にコストが安くなっているし、しかもこのような技術を小規模集団や個人さえも手に入れやすくなっているため、これにどう対応していくかを、絶えず考えておく必要がある。

しかし、将来、急速に解体しつつある民族・国家の間で、戦争が勃発するのかどうかは確かではない。また、昔、紛争の解決のために使っていた武器が、そのまま将来にも役に立つかどうかは不確かである。

今後、我々が最も考慮すべき重要な変化は、1) ドローンやロボットの出現、2) サイバー戦争の精巧さ、3) 3Dプリンターや、その他非伝統的手段を駆使した物体伝送方式の出現、この三つである。従来の軍隊は、戦車、戦闘機、ミサイル、軍艦及び航空母艦などによって構成されており、これらはみな高価なばかりでなく、新たな武器にはとても脆弱である。

ドローンやロボットの場合、現在の技術力はまだ原始的なレベルではあるが、今後、世界を大きく変えるであろうと期待されている。もちろん、ロボットの潜在力を過小評価してはいけないが、今後、ドローンがこの変化を主導していくことは確実である。今後、ドローンは一段と小型化して、俊敏性を増すであろう。ひいては、ミクロの大きさにまで縮小され、ドローンの自己調整能力さえも可能になる時がくるであろう。

今後、ドローンの攻撃力が向上すれば、双方の抑止が働くであろうが、数千機もの超小型ドローンによって莫大な被害がもたらされる未来を想像することも、そう難しいことではあるまい。

ロボットは、今後、より大きな役割をするであろう。現在、致命的な攻撃を制御できる立場にまだ人間は立っているが、ロボットによる自動化のせいで、そうした制御に参加できる過程から人間が外されることになろう。そうなれば、罪のない民間人に対する被害はますます多くなることに決まっている。すでに一生懸命に働いている、この殺人マシンの設計者たちが、アシモフのロボット工学の倫理に関する三原則をこれに適用する可能性は、まずないであろう。

また、サイバー戦争は、我々に巨大な挑戦をもたらすことになる。いとも簡単に、敵であるわれらの武器を奪い取り、サイバー機能を利用してわれらにわれらの武器を使う 可能もあろう。そのため われわれハッキングすらできない在来の武器体系へ戻らなければならないことになるかもしれない。

また、サイバー戦争は、バーチャルリアリティ、ゲーム、公告、それから宣伝や芸術等と結合して、複雑な連続体を形成することによって、それを統制、または抑制しなければならない深刻な挑戦をもたらすであろう。若者がゲームに催眠され、戦争が来ることさえわからなくなるのはいま戦争戦略のひとつ重要な一部になっている。

しかも、このような能力は、民族·国家ではなく、特定勢力に悪用される可能性が高く、よって国際的な広範囲にわたる衝突につながる可能性もある。また、我々が今まで保持してきた国家安保政策の基本方針は、例外なく近代国家間の戦争を前提として計画したものであったが、これからの 葛藤、または紛糾においては、この国家安保に関する最も基礎的な概念が違ってくることになるでだろう。とても不安定で分裂した国際社会の秩序のもとでは、一般市民はそれを民族·国家間の戦争だと見なしても、戦争は国家間の争いへと展開して行かない可能性が高い。

3Dプリンティングは最先端技術であり、軍事的用途に関してはどのように使用されるか、今のところ、完璧に予測することは難しいが、既に産業の版図を変える重要な技術として見なされているのは事実である。3Dプリンティングは、3Dプリンターに提供されるデジタル情報により、以前の技術では製造できなかったもの、例えば、武器をも含めた色々な機械装置などを作り出す可能性を提供している。3Dプリンティングは、過去20年間の工場で行われてきたCNCルーティング、ミーリング、押出成形及び切削加工技術の拡張ともいえるが、その規模や普遍性といった点においては、比べ物にはならない。熱可塑性樹脂の小さな水玉を作って立体的な物体が作れる、理論的には、3Dプリンティングを使用すれば物流を介さずに、周りにある材料で武器を作ることが可能になる。

現在、アメリカや日本がこの新技術を先導しているという理由だけで、今の状況が維持できると過信してはならない。アメリカはドローン、サイバー戦争及び3Dプリンティングの使用に関する厳格な条約の締結がなされるよう、最優先的に政策を推進しなければならない。なぜなら、この技術は日々、価格低下が進み、他の国が短期間で世界市場を制圧することも可能だからである。これは既存の国家政府や正常な組織にとって決して有利な状況ではない。

今後、ますます民族や国家の分裂を目の当たりにすることであろう。サイバー戦争は、仮想現実、ゲーム、広告、宣伝及び芸術と複雑に絡み合っており、この特異な連続体の管理、取締りはとても難しく、深刻な問題になるのは間違いない。我々は、すでに存在する武器体系に絶対的信頼をおいてもならないし、既存の武器がもはや目的を果たせなくなったとすれば、果敢に放棄しなければならない。単に金銭的利益やプライドの維持のために特定の防御体系を維持することは、無責任なことである。

安保論争を変える気候変動

伝統的な軍事技術が正当化されるとしても、我々は、気候変動に適応し、これを軽減するのに莫大な費用がかかることや、従来型武器を持続的に開発する費用がもうすぐ無くなるという事実を、素直に受け止めなければならない。

我々は、人間の生存を脅かす気候変動の急速な進行状況を考慮した場合、安保の概念を全面的に考え直さなければならないのである。これからは、ガス排出の減少、汚染された水質や土壌の浄化、そして、森やその他の自然を復元するのに、根本的な支出を増やしていくしかないであろう。

わかりやすく言えば、これ以上、従来の軍費支出に必要な資金は残っていないということである。結局のところ、費用を賄うことができないという現実的な理由により、軍事兵器を大幅に削減する国際的な軍備統制体系を構築するしかないのである。

好むか好まざるかは別にして、世界中で核兵器を廃絶して、戦闘機、戦車及びその他の従来型武器を大幅に削減する合意案を結ばなければならない。なぜならば、我々は、まったく新たな経済を再構想する必要に迫られているからである。現在、情報機関、軍隊や外交のために使用される経費のほとんどが、今後は気候変動による深刻な問題を解決するのに使用されるであろう。そして、これは直接、経済計画に反映される厳しい監視のもとで、実行されなければならない。もちろん、海軍、陸軍、情報機関などは、それぞれに矜持があって、今手にしている膨大な予算を簡単に手放さないと考えるかも知れない。しかし、気候変動の問題に向かうことで、軍隊や情報機関の役割が根本的に変化するなら、別の矜持やプライドが軍隊や情報機関に生まれる可能性は十分にある。そうなった時、そうした軍隊や情報機関をどう呼べば良いかが新たな問題にもなろう。しかし、それは大した問題ではない。大事なのは名前でなく中身、すなわち役割の根本的な変革である。

このビジョンは理想主義者の立場ではなく、むしろ、ほとんどの人が考えようともしない現実を直視する実用主義者の立場と認めるべきだ。安保の脅威に真摯に立ち向かうのが軍隊の義務である。気候変動のような、安保を脅かす重大な要因をも解決できない武器体系を導入するために、巨額の契約を結んだり、高額を支出したりすることは、もはや軍隊の義務ではないのである。

核戦争による人類の破滅

技術の幾何級数的な発展は、安保の概念を根本的に変えてしまい、人類史上、前例のない新たな脅威を生み出している。これはある程度、予測可能だった部分でもあり、国連の設立を始めとして、戦争を終わらせようとするいくつかの努力の背景にもなってきた。しかし、完璧な世界を追及することよりも、核兵器時代の到来やその他の破壊的な武器などによる戦争被害が拡大したため、今や一般的にも核兵器を絶対に規制しなければならないという認識が広まった。

これを最も明確に訴えた人物が、アインシュタイン博士である。1955年にラッセル=アインシュタイン宣言が出た時、その宣言の中には、「さて、ここに私たちが皆さんに提出する問題、きびしく、恐ろしく、そして避けることのできない問題がある-即ち、私たちは人類に絶滅をもたらすか、それとも人類が戦争を放棄するか?」といった表現があったことを想起してもらいたい。

今や、核戦争による人類の破滅はまだ起こってないとしても、その脅威は益々増大している。そして破壊的で、しかも手に入れやすくなった新武器の登場により、この脅威は徐々に現実味を増しているのである。反面、技術の急激な発展に伴い、気候変動という、より大きな脅威が発生した。我々は、社会の発展により多くのエネルギーを消耗するようになったが、残念なことに、生態系に及ぼす影響はまったく考慮しなかった。

戦争を引き起こす能力や武器の開発、それらの使用を真剣に制限するためには、組織化された高度な国際システムが必要である。ここで言う国際システムとは、国連で構想した「包括的核実験禁止条約(Comprehensive Nuclear Test Ban Treaty、略称:CTBT)」や、「核拡散防止条約(Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons、略称:NPT)」などのようなものと、同様である。

たとえ、現状がこれとは反対の方向に向かっており、アメリカが次世代の核兵器を開発するために10億ドルを注いでいるとしても、希望を捨てる理由にはならない。アメリカが従来型武器と核兵器の境界を曖昧にする小型核装置を開発して、核戦争の可能性を高めているという事実は不安材料ではあるが、だからといって、これが世界の終焉を意味しているわけでもない。

マティス国防長官が今週東京を訪問する時にこのように包括的な安全保障戦略を提案し、中国との軍事衝突を断じて拒否すべきである。日本人が勇気をだして、果敢に反対の方向に進むべき時なのである。それは本当の安保のためでもあり、日本が世界の本当のリーダーの一員になる道でもある。