“韓国産業のマンネリズム危機” (中央日報 2015年 11月 23日)

中央日報

“韓国産業のマンネリズム危機”

2015年 11月 23日

 

パストリッチ エマニュエル

 

新しい需要に対応し粘り強く未知の領域に進む時、新しい産業の発展が可能だ。特にこのところ世界は急激に変わっている。パラダイムが完全に変わっている。これ以上韓国の成功神話が通用するという保障もない。これからは韓国の本当に天才性はより良いスマートフォンを作る能力ではなく、まだ存在していない何かを想像しそれを現実に作ろうとする挑戦精神から出なければならない。

このところこれがうまくできない理由は、韓国の技術水準は発展し続けてもその過程でより根本的な「なぜ?」という問題意識が消えたためかもしれない。なぜ私たちが新しい製品を作るべきで、そのような製品が私たちの時代の挑戦に対応するのにどのように寄与するのかという問題だ。毎日驚くべき製品を生産しながらもこの根本的な質問にこたえられる韓国人は何人いるだろうか。

これは学問的次元の問題ではない。韓国は地球温暖化と人口の急速な高齢化で途轍もない挑戦に直面することになるだろう。こうした問題の解決は革新的な新技術を要する。それなら生の様式と都市空間を画期的に変える方法を模索しなければならない。既存製品を改善するところからもう一歩踏み出してまったく新しいシステムを開発しなければならない。

江戸時代の日本の儒教学者荻生徂徠はこのように話した。「碁を打つ方法には2種類がある。ひとつは囲碁の規則を熟知し本能的に失敗なく置くことができる人で、もうひとつは囲碁の規則自体を作る人だ」。

囲碁で最高の戦略は既存の規則に通じる段階を超えまったく新しいスタンダードを創造しなければならないという意だ。これは韓国の産業にも同じことだろう。韓国もいまやこれまで生産してきた製品とまったく異なる製品、まったく新しい分野、まったく新しい市場を作らなければならないという意味だ。

韓国はすでに既存の技術と生産工程をほとんど完成した段階と変わらない。いまは新しい製品開発だけでなく、生活方式を根こそぎ変える革新的なシステムと哲学の先頭走者にならなければならない。鉄道が19世紀を変え、高速道路が20世紀を変化させたとすれば、21世紀は何が“ゲームチェンジャー”にならなければならないだろうか。その答えは不幸にも教科書には出ていない。ただすべての挑戦をあらかじめ見抜く想像力とこれを実現するために既存技術を活用する能力からだけ出てくる。韓国の産業がマンネリズムから果敢に抜け出さなければならない理由もまさにここにある。

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